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東京モーターショー出展前夜のホンダブース、ひとりVEZELのシートで思いにふける伊東社長
「やっと完成したこのSUV。でも本当に受け入れられるのだろうか・・・」感慨と不安が入り混じった伊東社長の目頭は熱くなっていた
どれくらい経ったろうか、伊東社長ははっと目覚めた
どうやら泣き疲れてVEZELの運転席で眠ってしまったようだ、冷たいシートの感覚が現実に引き戻した
「やれやれ、数時間後には最終リハーサルだな」伊東社長は苦笑しながら呟いた
VEZELを降りて伸びをした時、伊東社長はふと気付いた
「ここは・・・?山下工場・・・?」
VEZELから飛び出した伊東社長が目にしたのは、懐かしいオイルの匂いで埋めつくされた山下工場だった
千切れそうなほどにエンジニアの声が飛び交い、地鳴りのように溶接音が響いている
どういうことか分からずに呆然とする伊東社長の背中に、聞き覚えのあるエキゾーストが聞こえてきた
「伊東、テスト走行だ、早く乗れよ」声の方に振り返った伊東社長は目を疑った
「え・・・S2000?」 「なんだ伊東、居眠りでもしてたのか?」
「え・・・エアウェイブ?」 「なんだ伊東、かってにエアウェイブさんを引退させやがって」
「HR-V・・・」 伊東社長は半分パニックになりながら生産ラインを見渡した
S2000、HR-V、シビック、NSX、インスパイア、クロスロード、エアウェイブ、エディックス、ビート・・・
暫時、唖然としている伊東社長だったが、全てを理解した時、もはや彼の心には雲ひとつ無かった
「売れる・・・VEZELは売れるんだ!」
再びVEZELに飛び乗り、スロットルを全開にする伊東社長、その目に光る涙は不安とは無縁のものだった・・・
翌朝、モーターショー会場内の壁に車両前方から突っ込み冷たくなっている伊東社長が発見され、プレス発表本番は伊東社長の等身大パネルでひっそりと乗り切った