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第三章
あるとき、わたしは、このように聞いた。
ある日のこと、仏陀はサーヴァッティのジェータ林にあるアナータピンディカ園で、集まって来た比丘衆にこのように説かれた。
「比丘達よ、この輪廻には、始まりがない。
あらゆる生が無智に覆われ、貪欲に縛られ、幾ら遡ろうとも、輪廻の始原は見えて来ない。
比丘達よ、汝らは、如何に思うだろうか。
この長い輪廻において生き物が流した涙をすべて集めるならば、海よりも大きいだろうか。」
「尊師よ、それは、言うまでもありません。
この長い輪廻において生き物が流した涙をすべて集めるならば、海よりも大きいはずです。」
「比丘達よ、汝らは始りがない過去から今日の現在に至るまで、長い長い歳月に渡り、
母の死に遭って、数え切れない涙を流して来た。
こうして、汝らが始りがない過去から今日の現在に至るまで、長い長い歳月に渡り、
流し続けた涙は大海と比べて、遥かに大きい。
比丘達よ、このように永遠の時の間を我々は苦しみながら、輪廻をし続けて来た。
それゆえ、解脱を求める方が賢明だと言える。」