15/12/14 15:17:49.95 0.net
我々は数多くのヤクザを取材し、あらゆる組の事務所を訪問した。
そこで気付いたのだが、ペットを飼っているヤクザは、ドーベルマンや土佐犬など獰猛な生き物を好むのだ。
攻撃的になるよう訓練しているのか、我々が近づくと力強く吠え、牙を剥き出しにすることが多い。
その一方、とても愛くるしいペットがいる事務所もある。
三代目丸山組和久井会の若頭で、自らの組織である如月組を率いる如月道春組長の事務所には、小さい豆柴がいる。
小さい豆というところから「あずき」と名付けられ、いつも事務所を所狭しと遊び回っているのだ。
元々は近隣の子どもたちが拾った豆柴で、困っていた子どもたちを見かねて飼い始めたという。
今では全組員に愛される存在で、散歩などの世話も当番制で行われている。
如月組長は「あずきのおかげで散歩するようになり、健康になりました」と笑いながら語ってくれた。
あずきは小さいながら賢い犬だそうで、和久井会和久井一朗会長が如月組事務所に立ち寄った際は、とても静かにしているそうである。
また、和久井会長もあずきを気に入っており「近々、子分の盃を下ろそう」との冗談を言ったそうだ。
大親分の訪問で緊張する如月組組員たちをほぐす意味合いもあったのだろう。
和久井会長の優しさが垣間見える逸話である。
如月組の宮本貴哉本部長は「あずきが大親分の直参になれば、あずきの叔父貴って呼ばないといけませんね」と笑った。
この宮本本部長とて、武闘派として他の組織には存分に恐れられる極道だ。
しかしながら、温和な一面を持っており、このバランスが人を惹きつける魅力なのだろう。
【了】