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津波被害の大きかった仙台市沿岸部や周辺市町で見つかった遺体が、
宮城県利府町の県総合運動公園(グランディ21)体育館に安置されている。
18日、棺(ひつぎ)に納められた約300人の遺体が整然と並べられ、遺族は
肩を抱き合って涙を流していた。
棺の上には、身につけていた服や財布などの遺品が袋に入れられて置かれた。
棺が足りず、白いシートにくるまれた遺体もあった。
「顔を見るまでは信じたくない」。そう言って仙台市宮城野区の農業
山田正二さん(64)は、孫の友太郎くん(4)の遺体と対面した。
30日に5歳の誕生日を迎えるはずだった。「どんなプレゼント買ってくれるの?」。
電話で弾む声に、好きなおもちゃを買ってあげようと思っていた矢先だった。
棺の中の表情は、きれいで優しかった。顔についていた泥は、きれいに
拭き取られていた。「(本人に)間違いなかった。なんにも言葉になりません……」。
胸のポケットから取り出した友太郎くんの写真に大粒の涙が落ちた。
同市宮城野区の川下はつよさん(73)の遺体と面会した長男、広幸さん(47)は
「やさしい顔をして眠っていました。津波で父も亡くし、本当に悔しいです」と話した。
同市泉区の佐藤仁志さん(40)の遺体と対面した父親の林作さん(59)は
「私たち残った家族で仁志の分まで頑張って生きていくよ」と棺に声をかけた。
(合田禄、伊藤和行)
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体育館に整然と並べられた棺。花と遺留品が置かれていた=18日午前、宮城県利府町、高橋正徳撮影
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