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東京都豊島区にある介護施設を訪ねた。共同生活を送っている認知症のお年寄りたちが、
青春時代の流行歌を歌ったりしていた。施設は、家庭を回り介護や看護をする訪問型サービスにも
力を入れている。運営しているのは東京電力の子会社だ。
社長の大西斉さんは技術系の東電マンだった。台風や雪害で停電した時の復旧を何度も指揮した
送電の大ベテラン。11年前、埼玉で自衛隊機が墜落し高圧送電線が切れた時は、マスコミ対応の
最前線に立った。
大停電になり非難ごうごうだったけれど、ほとんどの家の電気は30分程で復活。「台風が近づけば
休みでも、みんな出てくる。それが東電のDNA」。電気を絶やさないよう、いつどこにでも
かけつけるDNAが、訪問介護にも通じると誇らしげだった。
その翌日、巨大地震と津波が日本列島を襲った。そして国内で過去最悪の原発事故。次から次に
爆発が起き、今も先は見えない。しどろもどろの記者会見に突然始まった計画停電。「東電は何やってんだ!」。
イライラと不安と怒りが集中する。
確かに会見は混乱し要領が悪い。計画停電だって、こっちはどう計画していいか、さっぱりわからない。
だけど、彼らも未体験の世界で必死にやっている。計画通りに停電しないのも、停電しないようにするのが
役目だから。今、発電所で命がけの作業を続けている人たちにも家族がいる。
「なってない」「ずさんだ」と怒鳴るのは簡単。でもそれで解決する危機じゃない。ここは一番
現場に通じたプロたちを信じ、支え、応援しよう。代わりはいないのだから、よきDNAの力を結集し、
最大限、発揮してもらわないと。
世界が「日本人はよくやっている」とほめてくれている。その日本人が非難ばかりでは、悲しい。
ソース:URLリンク(mainichi.jp)
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