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「2ちゃんねる」にみるアイロニズムとロマン主義 北田暁大・東大助教授
スレリンク(mass板)l50
岩波・世界2003年11月号より(一部抜粋)
99年にウェブ上に登場し、日本のネット人口の1割以上がユニークユーザーとして
接しているとも言われるこの世界最大の匿名掲示板の中では、左翼=「電波」と戦う
という「憂国の士」たちによって、「朝日新聞」を中心としたマスコミや市民派に
対する激しいバッシングが展開されている。
(中略)
これが2chに跋扈する「プチ右翼」たちの姿である。鈍化された形式主義者たる
かれらにとって、「朝日」が「何を」書いているか・意図しているかは実はそれほど
重要なことではない。もし仮に「朝日」が、らしくないことを書いていれば、「それも
朝日の狙い」といった具合に陰謀論説的に処理してしまえばよい。いかなる内容を
持った記事であっても、それが「朝日」に掲載されている限り、いわば文法的に
「朝日」を嘖うコミュニケーションのネタとして機能してしまうのだ。上野陽子は
「つくる会」地方支部の参加者たちの反朝日の雰囲気について「朝日を批判すれば、
隣に座っている年齢も社会的立場も異なる人とも、とりあえず話のキッカケがつかめる、
そんな風に感じられた」(小熊英二・上野陽子「癒しのナショナリズム」)と述べて
いるが、同じことは2chについてもいえる。或いは、もはや批判的アイロニーとしての
機能を喪失し、「繋がり」を確証するためのツールとなっているのである。