08/06/27 23:04:39
米国による北朝鮮のテロ支援国家指定解除手続き開始について、政界では与党も含め
日本政府の対応に厳しい見方が広がっている。
町村信孝官房長官は26日の記者会見で「予定された行動。米国は拉致問題の解決に
独自の立場で努力すると言っている」と述べ、米国との連携を通じて拉致問題の解決
を図る考えを強調した。超党派の「日朝国交正常化推進議員連盟」会長の山崎拓自民党
前副総裁も「朝鮮半島非核化を実現するための一つのプロセス」と評価した。
公明党の太田昭宏代表は記者団に「(北朝鮮が)核計画を申告したことは一定の評価が
できるが、申告の中身がより大事だ。拉致問題への対応で揺らいではならない」と語り
政府に注文を付けた。
これに対し、自民党首脳は「米国は同じことを繰り返している」と異例の批判。
クリントン政権の末期にオルブライト国務長官(当時)が訪朝するなど北朝鮮との
「融和」を進めながら結局、北朝鮮の核開発を止めることができなかった前例を
指摘したもので、「ブッシュ政権の任期が終わりに近づき、北朝鮮に対するハードル
を下げ過ぎだ」と米国への不満をあらわにした。
福田政権が、拉致問題で具体的進展がないのに、核問題を前進させたい米国に歩調を
合わせるのは、日米同盟を最重視するからだ。
しかし、与野党には、米国の解除決定が拉致問題だけでなく、日米同盟に与える影響を懸念する声もある。
超党派の国会議員でつくる「拉致議連」の平沼赳夫会長(無所属)は「根本的な問題は
日米同盟にひびが入りかねないということだ」と指摘。
民主党の小沢一郎代表は記者会見で「日本の淡い希望的観測が(米国が)結論を出す時
には考慮されないことを(国民は)改めて認識したのではないか」と同盟の不均衡を突いた。
北朝鮮問題に詳しい自民党中堅議員は「北朝鮮外交の勝利だ。情けない話だが、拉致
問題の進展は米国に頼るしかない。進展がないままテロ支援国家指定が解除されれば、
福田政権は内閣改造どころか、支持率が下がって政局になりかねない」との危惧
(きぐ)を示した。
日本が解除発効の8月11日までに拉致問題で具体的進展を得られなければ、米国に届かない不満の矛先は福田政権に向かう可能性もある。】
毎日新聞 2008年6月27日
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