08/05/16 16:38:28
★「ポスト福田」候補を決定的に変えた2つの記事
所詮、政治とは権力闘争である。古今東西、それは絶対の現実である。
今週、永田町では2つの雑誌記事が話題に上った。
ひとつは〈中川秀直・自民党元幹事長「愛人スキャンダル」告白した〝政策本〟の中身〉(週刊現代)、
もうひとつは〈救国提言 日本よ、「大きな政治」にかえれ/麻生太郎・与謝野馨〉(文藝春秋)、
それぞれが政界のキーマンを主役にした政治記事である。
永田町ではこの2つの記事は、麻生氏に続いて、中川秀直、与謝野馨の両氏も「ポスト福田」へ
名乗りを上げたものと受け止められている。国会議員や政治記者の間でのみに通用するきわめて内輪の論理
であるかもしれない。だが、それでも自民党内の勢力図を変えるには充分な根拠をもつと考えられている。
通常国会終盤を迎えて、永田町周辺は俄然、騒がしくなってきた。支持率低迷に喘ぐ福田政権を横目で見ながら、
超党派での「勉強会」や「議員連盟」が次々と立ち上げられている。与野党を問わず、各派閥や政策グループの
動きも活発化している。さらには首相候補と目される政治家たちが「ポスト福田」、さらにはその先の
「政界再編」を睨んで政治的な動きを顕在化させている。そうした中で、この2つの記事は「ポスト福田」の
流れを決定付ける大きな役割を果たすといえそうだ。
●自らスキャンダルを吐露し“禊”を済ませた中川氏
まずは、週刊現代の中川秀直氏の記事の方から検証してみよう。
一見スキャンダル記事に思える内容だがそれは違う。
実際は今月末、講談社から発売予定の中川氏の著書の宣伝に過ぎない。
これまでも中川氏は何冊も政策本を著している。
だが今回、話題になっているのは、政治的な傷として残っているスキャンダルに自ら言及した点だ。
愛人問題、暴力団との黒い交際などによって中川氏が官房長官の職を辞したのは2000年のことだ。
それ以来、閥務や党務を中心に汗を掻いてきたと中川自身は自負している。
官房長官辞任直後、インタビューした筆者に対してもこう語っている。
URLリンク(diamond.jp)
「いろいろと不徳の致すところがあったのは事実です。だから、今は表舞台で動くよりも、
外国に通って政治的なパイプを作ったり、若手の諸君と勉強して一緒に政策を考えていこうと思っています」
その後、選挙で当選を繰り返し、自民党幹事長にも就任、安倍内閣崩壊後には派閥の領袖にもなった。
ほとんどの点で「禊」は果たしたようにみえるが、唯一、総裁候補の有資格者としては「入閣」だけが欠けていた。
中川氏自身もまた「入閣」を拒み続けてきた。なぜか。その理由は、党幹部が政党という
比較的安全な壁に守られているのと違って、閣僚は、公人中の公人としてマスコミの攻撃に耐えうる
厳密な「身体検査」が求められ、国会でも野党からの厳しい質問に晒される覚悟が必要だからだ。
ところが今回、中川氏が自らスキャンダルに言及することで、永田町的にはすべての「禊」を済ませた
ということになる。ということは、これまでのように、小池百合子氏などを「傀儡」に立てようという
戦略の必要性もなくなり、自ら総裁候補として声を挙げる権利を獲得した。
最近の自民党総裁選は、最大派閥でかつ4代連続で首相を輩出している「清和会」の動向がカギになっている。
その領袖である中川氏は、派内最大の政治献金額を誇り、共同代表でもある町村信孝官房長官との求心力の差を
見せ付けている。また、キングメーカーである同派顧問の森喜朗元首相からは、「次の首相は中川君」と
すでに事実上の後継指名を受けている。
このように、今月末の著書の発表をもって、中川氏は「ポスト福田」に名乗りを上げたとみることができるのだ。
続きは>>2-5