08/05/05 16:35:10
■移民受け入れに舵を切るとき
2008年3月18日、自民党本部で開催された「外国人材交流推進議員連盟21世紀外国人政策PT」の
勉強会において「移民受け入れに舵を切るとき」の表題でスピーチを行った。
以下にその要旨を掲げる。
●移民受け入れに舵を切るとき
なぜ「移民」なのか
日本は今、未曾有の人口危機に向かって進んでいる。政府の人口推計によると、現在1億2800万の
人口は50年以内にその3分の1が減り、100年以内にその3分の2が減る見通しだ。増加から減少への
人口動態の転換は、国民生活、産業経済、雇用、教育、社会保障など、日本社会全般に大きな影響を及ぼす。
すでに人口減の直撃を受けている第1次産業地帯では、人口の過疎と経済の疲弊が極限状態まで来ている。
早く有効な手を打たなければ、地域住民がひとりもいなくなって消えてゆく農山村が相次ぎ、
歴史遺産の水田・山林も荒廃の一途をたどるだろう。
一国の人口推移は、人の出生、死亡、国際人口移動の3つの要因によって決まる。
人口減少問題への取り組みとして、政府は出生率を高めるため保育サービスの充実などに力を入れている。
しかし、人口問題の専門家によると、少子化対策の効果が現れるとしても、それは遠い将来ということだ。
したがって、当分の間、海外からの移民受け入れ以外に、日本の人口危機を救う効果的な治療法はないのである。
なぜ「移民」なのか。国家の構成員(国民)が減ってゆく国のとるべき外国人政策は、将来国民になってもらう
外国人を確保する「移民の受け入れ」しか考えられないからだ。
最近、ジャーナリズムで「移民が人口減の日本を救う」という論調が目立つ。一方でワシントンポスト紙に
「人口危機をロボットが救う?―労働人口が減少する日本は移民を拒み、テクノロジーに頼る」という記事が載った。
この記事は、人口減少に悩む日本が選ぶのは日本人の好きなロボットであって、苦手な外国人ではないだろうと、
日本の姿勢を皮肉ったものだ。
海外から改革に消極として「日本売り」が言われている今こそ、政治の責任で、人口危機にある日本が
どんな国家を目指すのか、明確なビジョンを世界に発信すべきである。「人口危機に立ち向かうため
日本は『移民国家』へ移行する」と政治が決断すれば、国際社会は国の形を「多民族国家」へ変える
究極の構造改革を評価し、「日本買い」に転じるだろう。
続く