07/12/31 14:13:41
福岡県田川市の社会保険田川病院(吉村恭幸院長、348床)が7月、同市内の30代女性の
左胸にできた良性腫瘍(しゆよう)を乳がんと誤診し、手術で乳房の一部を切除していたことが
30日、分かった。手術後に摘出した腫瘍を病理検査して、初めて良性と判明したという。同病院
は「良性なのにデータ上はがんであることを示す、極めて珍しい症例で、事前の診断は順当だった」
としつつも、結果的に誤診を認め、女性側に賠償金を支払う意向を示している。
■術前検査で悪性と診断
同病院は、厚生労働省が指定した地域がん診療連携拠点病院。
病院側の説明によると、女性は6月下旬、「左胸にしこりがある」と来院。乳房エックス線撮影
(マンモグラフィー)検査や乳腺の画像検査、腫瘍の表面組織の病理検査を受け、組織のでき方
や細胞分裂の進行速度が、がんの特徴と一致したという。コンピューター断層撮影(CT)や血液
検査のデータもがんの疑いを示した。病院は段階が進んだ乳がんと診断。執刀医らが女性に病状
を説明し、7月中旬、手術で腫瘍をすべて取り除いた。
ところが、手術後に摘出した腫瘍の細胞組織を病理検査した結果、がんではなく良性だったことが
判明。同病院は女性と家族に謝罪した。女性は8月に退院。健康状態に問題はないが、乳房の形
が変わったという。
田川病院を運営する同県社会保険医療協会(福岡市)によると、女性側の苦情を受け、摘出した腫瘍
の再鑑定を外部の専門医に依頼している。診断ミスが起きた原因を特定して、賠償額を協議すること
にしている。
同協会は「腫瘍を摘出して内部を検査しないと(良性とは)分からない特異な例だった」と釈明。吉村
院長は「女性には大変申し訳ない。同じ過ちが繰り返されないよう、今回の症例を学会で報告する」
と話している。
■セカンドオピニオンを 医事評論家森田浩一郎氏(医学博士)の話
データ上は悪性だが実際は良性という腫瘍は、極めてまれだが過去にも報告例はある。がん診断
の誤りを避けるためには、別の医師に意見を求めるセカンドオピニオン制度の導入が有効ではないか。
西日本新聞
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