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「親知らず」からiPS細胞作製 バンク構想に弾み
抜歯した「親知らず」から万能細胞(iPS細胞)をつくることに、産業技術総合研究所の
大串始・主幹研究員らのグループが成功した。歯科医院などで抜いた歯を使えば、
iPS細胞づくりで患者に余計な負担をかけずにすむ。将来のiPS細胞バンクの構築などに
役立ちそうだ。
10歳の女児が歯の矯正治療の際に抜いた「親知らず」から、歯や骨のもとになる
間葉系細胞を取り出し、京都大の山中伸弥教授がiPS細胞づくりで使った3種類の
遺伝子を導入したところ、iPS細胞ができたという。山中教授は皮膚の細胞を使っていた。
iPS細胞はさまざまな細胞や組織になる能力があり、患者の細胞からつくれば、
拒絶反応がない細胞移植が可能になると期待されている。しかし、個別の患者ごとに
つくるとなると、現実には手間や費用がかかる。このため、多くの人のiPS細胞を
あらかじめ集めたiPS細胞バンクづくりが構想されている。
大串さんは「細胞バンクの構築には、多くの細胞源が必要。抜歯された歯はもともと
廃棄されるもので、患者に新たな負担がない点でも有望だ。今後は大人の歯や乳歯
でも試したい」と話した。(竹石涼子)
朝日新聞
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