08/06/13 21:30:15
独立行政法人理化学研究所は、大型放射光施設SPring-8に整備した軟X線
発光分光装置で、水の電子状態を0.35 eVという世界最高の分解能で観測し、
水には主に「水素結合の腕が大きく歪んだ構造」と「氷によく似た秩序構造」の
2種類があることを発見しました。
(略)
約100年前、X線の発見者として知られるW.C.レントゲン(W.C.Roentgen)博士が、
「水は氷によく似た成分と未知の成分の2つからできている」というモデルを提唱しました。
その後、現在に至るまで、水は「氷によく似た秩序構造を出発点にして連続的に
歪んでいく」ことで成り立っているのか、あるいは「特定の構造の間を行ったり
来たりする」のかという論議が絶えず戦わされてきました。
この水の謎に終止符を打つために、分子動力学計算やX線・中性子散乱をはじめと
した、理論的・実験的な研究が行われてきましたが、いまだに結論はでていません。
研究グループは、水素結合と呼ぶ「力」によって水分子中の電子が受ける影響を
軟X線発光分光で調べました。その結果、液体の水の中には明確に区別できる
2つの状態があり、1つは「水分子間をつないでいる水素結合の腕が大きく歪んだ
水の海」、もう1つは「この海の中に浮かぶ氷によく似た秩序構造」であることを
見いだしました。
この発見は、これまで有力とされていた「連続的に歪んでいる水」を記述していた
モデルを覆すとともに、水溶液や生体内など、水がかかわるあらゆる科学的現象の
理解を進める上で重要な鍵となります。
本研究成果は、米国の科学雑誌『Chemical Physics Letters FRONTIERS article』、
オンライン版(6月11日付け:日本時間6月12日)に掲載予定です。
(ソース長文の為一部抜粋しました。詳細は以下のソースをご覧下さい)
ソース:URLリンク(www.riken.jp)
画像:URLリンク(www.riken.jp)
理化学研究所プレスリリース 2008年6月13日