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ブラックホール蒸発、ホーキング理論をスパコンが検証
重力がとても強くて光さえ抜け出せないブラックホールは、物質を飲み込む一方で熱を出し、いずれ「蒸発」する―。
「車いすの科学者」として知られる英国のスティーブン・ホーキング博士が74年に提唱したこんな理論のうち、
ブラックホール内部に熱源があるように見える理由が、モデル計算で確かめられた。理論の正しさが検証された
ことになり、遠い未来にブラックホールが消えてしまうという予測が現実味を帯びてきた。
高エネルギー加速器研究機構(茨城県つくば市)の西村淳准教授らのチームが、スーパーコンピューターで計算した。
宇宙の成り立ちを説明する究極の素粒子理論「超弦(ちょうげん)理論」をもとに、ブラックホールの中心部のモデルを
スパコン内に構築。同理論ですべての粒子の本体とされる極小の「弦」が無数に生成・消滅し、合体・分裂をしながら
さまざまに振動する様子を計算した。すると、こうした弦の反応の様子がホーキング博士の理論とよく一致した。
弦の反応は複雑で計算量が膨大になるため、これまで厳密なモデルはなかった。チームは弦の4つの基本振動
パターンをうまく組み合わせ、無駄な計算を省いた。成果は米科学誌フィジカル・レビュー・レターズ電子版に15日、
掲載される。
西村さんは「さらに計算能力を上げ、ブラックホールが蒸発する様子や、『宇宙は実は9次元空間だ』という超弦理論が
求める宇宙構造などを検証したい」と話す。
朝日新聞
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