08/01/08 13:27:39
1997年1月、米AT&T社の放送衛星が予告なしに停止し、数百万世帯でサービスが
中断された。事故の発生から6日後、衛星が完全に機能停止してしまったことが確認された。
その後の研究により、衛星が任務をまっとうできなくなった理由は、コロナ質量放出
(CME)という現象だと結論が出た。これは太陽から、電荷を帯びて加速した粒子(プラズマ)が
急激に放出されるもの。このような急激な粒子の放出(これは太陽フレアとは別のものだが、
しばしば結びつけて考えられている)が起こる仕組みは、いまだ十分に解明されていない。
この太陽の「げっぷ」が衛星にとって危険であり、また放出物が地球の軌道に到ることから、
地上の送電網にも影響を及ぼす恐れがあることは、かねてから明らかになっていた。だが
この現象の発生の仕組みは十分に解明されていない。
しかし欧州宇宙機関(ESA)の『Cluster』衛星からのデータとシミュレーションを元に
分析を行なった研究チームが2007年11月、この危険性を秘めた粒子の流れが、地球を
取り巻く磁気環境と粒子との相互干渉によって加速されていく仕組みについて発表した。
研究チームによれば、これらの粒子は太陽風と同じ速さ[秒速約650キロメートル]で
放出されているという。だが粒子が地球に到達すると、太陽風の磁力線は地球の磁気圏に
せき止められ、横滑りして、チームの言葉を借りれば「磁力のパチンコ」のように
プラズマを加速させるという。
この作用によって加速された粒子群は、秒速1040キロメートルもの速さで地球を通り
過ぎる。これは、質量のない光子(フォトン)が飛ぶ速度に比べれば遅いと言えるが、質量の
ある粒子がこの速さで動けば、その通り道にある電子機器を破壊するのに十分な勢いとなる。
ESAの発表[シミュレーション動画もある]を参照した。
URLリンク(www.esa.int)
『太陽圏観測衛星』(SOHO)が2000年に撮影したコロナ質量放出(CME)。太陽からの直接の光は遮ってある。
URLリンク(wiredvision.jp)
ソース WIRED VISION
URLリンク(wiredvision.jp)