08/01/08 13:04:26
経済産業省は5日、米国と連携し、電気抵抗がゼロとなる次世代の送電線材料の
開発に共同で取り組む方針を明らかにした。
実用化できれば、送電過程で失われる電力が大幅に減り、地球温暖化の原因となる
二酸化炭素(CO2)排出量で年間約1000万トンの削減につながると見ている。
先端技術研究で知られる米ロスアラモス国立研究所(ニューメキシコ州)との間で、
近く覚書を締結する。共同開発は、経産省系の国際超電導産業技術研究センター
(ISTEC)を通じて実施する。日本国内で送電網の設備更新が増加し始める
2020年度までに実用化にメドをつけ、電力各社の切り替え需要に応じる。
現在、送電線の素材には主に銅が使われているが、電気抵抗で発電所から家庭や
オフィスに届くまでに約5%が失われている。
超電導物質を使い、電気抵抗がほぼゼロになる電線に置き換えれば、損失を2%
程度に抑えられると見ている。年間で約200億キロ・ワット時もの電力量が
節約できる計算だ。国内の総発電量の2%で、火力発電施設数十基分に相当する。
また、送電線の太さも、従来の送電線の100分の1に抑えられる。同じ太さの
ケーブルで大容量の電流が流せるため、人口集中や情報機器の普及による都市部での
電力需要の増大にも対応しやすくなる。
経産省では、抵抗ゼロの送電線や変圧器などの開発に今後、100億~200億円を
投じる方針。日本ではこれまで、10世帯程度で使う電流の大きさに当たる300
アンペアについて、長さ約400メートルまで抵抗ゼロで送ることができる送電線の
開発に成功している。
ただ、実用化には、少なくとも500メートル以上の距離を抵抗ゼロで送ることが
条件になる。現在100メートル当たり36万円の製造コストを9万円以下に引き
下げることも課題だ。このため、より大きな電流を安定的に送ることができる新しい
超電導物質の開発が急務となっている。
ソース 読売新聞
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