07/12/15 23:36:40 JcWX4Fzm0
山の林の中には祠があった。
当時中学生だった僕はムラの青年団の人たちに連れられて、霊山と呼ばれるこの山を登ってきたのだ。
普段は明るいのに今日だけはうつむいて何も言わない青年団の人たちが気味悪かった。
僕は肩を押され祠までの階段を登るように指示された。不安な僕を残して、青年団の人たちは何も言わず山を降りていった。
僕はしばらく祠の前に立っていたが、やがて勇気を出して恐る恐る扉を開けた。するとなんということだろう。
そこには50代と思われる女性が座ってテレビでワイドショーを見ながら足を投げ出し飯を食っているではないか。
祠の扉の音に気付き、その女は面倒くさそうにこちらを振り向いた。そして立ち尽くす僕を見ると金歯の入った前歯を見せてニヤリと笑った。
牧村トメ、そうこの女性こそ20年来この霊山でムラの少年たちの筆おろしをさせてやっている「神の使い」なのである。
このムラの少年たちは15歳になる前日の夜、青年団に連れられてこの場所にやってくるのだ。
「あら、吉次郎さんとこの坊やね。そこにズボン脱いで桶の水で洗ってここに寝なさい。大丈夫。すぐに楽になるから。」
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僕が絶頂を迎えたとき、僕の上にまたがったおばさんは「あんたもこれで立派なこの村の大人やね。」
と高らかに笑った。前歯の裏に山菜が挟まったおばさんの口から歯周病の嫌な臭いが溢れてきた。
祠の階段をトボトボと降りる僕の頬に知らず知らずのうちに涙が流れてきた。
青年団の人たちは麓の石の鳥居のところで待っていてくれた。彼らは何もいわずに僕の肩を抱いて歩いた。僕の目から涙が溢れてきた。
暗い山中で歯を食いしばりながら僕は思った。
「この霊山の秘密だけは誰にも知られてはならない。」
その日から僕はこの山の秘密を守るムラの男たちの一員になったのだ。