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★心臓病治療に太もも筋肉利用、回復し退院へ 大阪大病院
重い心臓病患者の筋肉細胞からつくった「心筋シート」を心臓に張って治療する手術で大阪府の
男性(56)が、補助人工心臓を外すまでに機能回復し、月末にも大阪大病院を退院することに
なった。世界でも例のない臨床研究で、心臓移植を待つしかなかった患者に再生医療という選択肢
を与える可能性が出てきた。澤芳樹大阪大教授(心臓血管外科)は「まだ1例で判断は難しいが、
症例を積み重ねて普及をめざしたい」と話している。
(図解)URLリンク(www.asahi.com)
患者は昨年2月、意識のない状態で搬送された。補助人工心臓をつけて心臓移植を待っていたが、
心筋シートを張る手術を今年5月に受けた。
心筋シートは、患者の太ももの筋肉(約10グラム)からつくる。傷つくと分裂や分化して損傷を補う
筋芽細胞などを取り出し、特殊な培養液中で直径約5センチ、厚さ約50マイクロメートルのシートに
する。3、4枚重ねて弱った心臓の表面に張る。
患者は9月に補助人工心臓を外した。現在、心臓から送り出される血流が改善、心不全の重症度を
はかる指数も正常値に戻ったという。
澤教授によると、心筋の再生は移植した筋芽細胞が直接増えたのではなく、血管の増殖因子など
の増加による影響だと考えられるという。
筋芽細胞を培養して直接注入する臨床研究は欧米などにもあるが、注入した細胞の一部しか機能
しない問題や副作用の指摘もあった。こうした問題をシート方式で避けられる見込みが出てきた。
臨床研究は東京女子医大と共同で実施。補助人工心臓を着けて心臓移植を待っている70歳未満
の拡張型心筋症患者が対象で2年間に6人を予定する。
同症は心筋が弱って薄く伸び、血液をうまく送り出せなくなる。重症になると心臓移植しか治療法が
なくなる。
朝日:URLリンク(www.asahi.com)