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◇厚労省「低所得世帯より生活費高い」
検討会は厚労省社会・援護局長が設置。座長の樋口美雄・慶応大教授ら委員5人が先月30日、
食費、光熱費など生活費について、低所得世帯の支出額と保護世帯の受給額を比べ、
保護世帯の方が高い、との結論を出し、引き下げを容認した。
昨年度廃止された「老齢加算」(月約1万6000円)や09年度に全廃の「母子加算」(月約2万1000円)の
廃止決定の時も同じような比較がされた。
社会保障審議会福祉部会が03年、「低所得の60~69歳」と「70歳以上」、母子の「低所得世帯」と
「保護世帯」の消費支出をそれぞれ比べた。その結果、「70歳以上で支出が増えることはないので
老齢加算は不要」「母子では保護世帯の受給額が低所得世帯の支出額より高い」と指摘。
それから間もなく減額・廃止が決まった。
いずれも当事者へのヒアリングは行われなかった。生活保護基準は、厚労相の告示で定められるため、
今後いつでも裁量一つで基準を引き下げられる。
老齢加算の対象者は約30万人、母子加算は約9万人だが、今回は全受給者約150万人にかかわる。
基準引き下げで保護から外されると、ケースによって免除されていた地方税、国民年金保険料などの
支払い義務が生じ、厳しい生活に追い打ちをかける。
保護世帯以外の低所得世帯にも大きな影響を及ぼす。自治体の低所得者向け
生活福祉資金(低利貸付制度)や就学援助などは、収入が「生活保護基準の1・2倍以内の世帯が対象」などと
保護基準と連動させているものが多い。引き下げはこうした制度の利用世帯も直撃する。
改正最低賃金法には、最低賃金は生活保護との整合性に配慮するよう明記され、基準引き下げは
最低賃金の上げ幅にもマイナスの影響を与える。
さらに続く >>3-7