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日本新聞協会の意見書
通信・放送に関する法制度の見直しを進めてきた「通信・放送の総合的な法体系に関する研究
会」の「中間取りまとめ」は、これが制度化されれば、我が国の情報産業に大きな変化がもたらされ
るだけでなく、言論・表現活動や報道のあり方にも重大な影響を及ぼすことが懸念される。
「中間とりまとめ」は、通信・放送を縦割りにした現行法制度を、通信と放送の枠を超えて、「コンテ
ンツ」「プラットホーム」「伝送インフラ」の三つに整理した法体系に転換し、「情報通信法(仮称)」と
して一本化することを提唱している。このような法体系の抜本的再編に際しては、なによりもまず、
現行制度の十分な検証が不可欠と考えるが、それが行われた形跡がうかがえない。通信・放送の
融合の時代においても、言論・表現の自由は民主主義の根幹をなすものであり、「中間とりまとめ」
の指し示す方向性によって、それが確保されることになるのかどうか、疑念を抱かざるを得ない。
特に「コンテンツ」に関しては、メディアを社会的な影響力に基づき分類し、インターネット上の情報
を規制することを提言しているが、「中間とりまとめ」の提言がそのまま実現された場合、言論・表現
活動や報道に対する公権力の介入につながり、憲法21条が保障する言論・表現の自由が脅かさ
れることを危惧する。コンテンツ規律については、現在も「通信の秘密保護」を踏まえて制度化がな
されており、違法・有害コンテンツ流通対策として、はたして、関係者全員が遵守すべき新たな「共
通ルール」を策定するのがよいのかどうか、さらに広範囲の関係者をまじえた慎重な議論が必要で
あると考える。情報産業振興をうたいながら、メディア規制を容易にするようなコンテンツ規律は導
入すべきではない。
通信と放送の融合という時代を迎えつつある今、新たな法制度の整備にあたるのであれば、公正
競争の促進や国際競争力の強化という産業政策的な視点だけでなく、国民生活に不可欠な情報
の流通の確保、言論・表現の自由の確保に格段の意を用いるべきである。
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