08/08/21 01:14:15
前回、アテネ五輪の時に、この欄で「愛国心は、ほどほどがいい」と書いた。
国内では教育基本法を改正し、「国を愛する」の文言を入れるかどうかが政治テーマとなっていたころ。小泉純一郎元首相の
靖国参拝などをめぐり、ナショナリズムという言葉がメディアをにぎわせていた時期でもあった。
私も愛国心は持っているつもりだが、こうした領域に政治が過度に介入するとろくなことはない。そんな思いから書いた。
あれから4年。今の日本は少し落ち着いて、「ほどほど感」が広がっているように見えるがどうだろう。
ナショナリズムをあおるような勇ましい発言は慎む。それを弱腰と批判する人もいるが、福田康夫首相がそう心に決めている
であろう点は評価していい。それと、もう一つ。中国が反面教師となっているように思える。
例の「口パク」や「56民族」の団結演出問題。そして過剰な警備。体制が違うといってしまえばそれまでだが、国家の介入や
統制が、いかに息苦しいものか。北京五輪報道に接しながら、感じている人は多いはずだ。
無論、それで嫌中意識が強まるというのは本意でない。本紙14日夕刊で内田樹・神戸女学院大教授が、北京五輪の失敗を
願っているかのような保守系論客を「おとなげない」と記し、「北京オリンピックには『ほどほど』の成功のうちに終わって欲しいと
願っている」と書いている。
私も賛同する。そして、中国に対しても「何ごとも、ほどほどに」と静かに進言してあげるのが好ましいと思う。
ソース(毎日新聞、論説室・与良正男氏)
URLリンク(mainichi.pheedo.jp)