08/08/05 18:18:24
韓国の外貨保有高に黄信号がともっている。
外債は増加を続ける一方で、その償還のための最後の手段となる外貨保有高は、
輸入物価を抑えるためのウォン高政策の影響で大幅に減少を続けている。
今のところは外貨保有高が不足している状況ではないが、韓国政府の行き過ぎた
ドル売りの市場介入が続く中、短期外債の急増や外国資本の離脱などが重なった
場合、外貨保有高に深刻な問題が発生するとの声が高まっている。
韓国銀行は4日に7月末現在の外貨保有高を2475億2000万ドル(約26兆7700億円)
と発表した。これは1カ月前の6月末に比べると105億8000万ドル(約1兆1400億円)も
減少したもので、1カ月の減少幅としては史上最大となる。
外貨保有高が大きく減少した理由について韓銀は、「外為市場の安定のためにドル
売り介入が必要だった」と説明した。ウォン高を維持するための通貨当局による介入が
外貨保有高の減少を招いたというのだ。
◆政府の行き過ぎた介入が招いた悪影響
急激な物価上昇で対策を迫られた企画財政部と韓銀は先月7日、外国為替市場に
行き過ぎたアンバランスが発生したと判断した場合には強い態度で臨むと表明し、
市場介入に乗り出した。輸入品価格急騰の大きな原因となるウォン安を防ぐための
宣戦布告を行ったことになる。通貨当局は翌8日には20億ドル(約2160億円)、9日
には50億ドル(約5400億円)前後の外貨を取り崩してウォン買いを行ったようだと
市場関係者は推測している。
ウォン買いに必要な保有外貨は今年3月末に2642億ドル(約28兆6000億円)を
記録して以降、6月末には2581億ドル(約27兆9000億円)、7月末には2475億ドルへと
引き続き減少を続けている。
これに対して外債は増加を続けている。外債総額は2005年末の時点で1878億ドル
(約20兆3000億円)だったのが、今年3月末には4125億ドル(約44兆6000億円)へと
急激に増加した。とりわけ政府が注目している1年以内に満期が到来する流動外債も、
今年3月末現在で2156億ドル(約23兆3000億円)に達した。
誠信女子大学の姜錫勲(カン・ソクフン)教授は、「外債が増えるペースがここ1年で
非常に早くなっている。このペースが続けば問題が起こる可能性もある」と述べた。
韓国政府は現時点での外貨保有高について心配するほどの状況ではないと主張
している。企画財政部の姜万洙(カン・マンス)長官は先月23日に国会での答弁で、
「適正レベルの外貨保有高については一致した見解がない。ただ2100億ドル(約22兆
7000億円)以上を維持すれば適正レベルだとの意見が大勢を占めている」と述べた。
しかし為替安定のための市場介入を今後も続けることで、1カ月に100億ドル(約1兆
1000億円)もの外貨保有高が失われる状況が続けば、問題はそれほど単純なもの
ではなくなってしまう。現在ソウル外国為替市場の1日の取引額は90億ドル(約9700億円)
に達し、市場の規模が大きく膨らんでいる。そのため政府が影響力を行使するために
必要なドルの額も増加しつつある。
◆外貨保有高の減少でウォン安が止まらず
韓国政府による市場介入の効果に疑問を投げ掛ける声も少なくない。4日のソウル
外為市場では外貨保有高が減少しているとのニュースが伝えられたことから、ドルに
対するウォンの価格は前日よりも2.80ウォン(0.28%)安い1ドル=1017.40ウォンを
記録した。ある銀行関係のディーラーは「外貨保有高がいくら多くても、政府が市場に
介入して流れを変えるのは無理な話だ」と指摘した。
金融市場では「9月のウォン値崩れ説」が流れている。昨年下半期に世界的な信用
不安でドルが不足した際、韓国国内の金融機関が世界中から借りてきたドルの満期が
9月に集中しており、そのためウォンの価値が大きく落ち込むという予想だ。
韓国政府もこのような事実を意識してか、政府部内で外貨保有高を適正レベルに
維持するための検討作業に入った。政府関係者は「輸入物価を抑えようとすれば
外貨保有高が減少し、外貨保有高を維持しようとすれば輸入物価を抑えられなくなる」
と語った。
朝鮮日報日本語版
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