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■景気失速の警戒強まる 中国
2008.7.20 20:31
中国で景気失速懸念が強まり始めている。上半期の国内総生産(GDP)増加率は10・4%
と前年同期を1・8ポイント下回り、5年続いた2ケタ成長の維持が微妙になってきた。広東、
浙江などの沿海各省では輸出企業の倒産が急増、株式に続いて不動産バブルも崩壊しつ
つある。政府はこれまでの過熱・インフレ対策一辺倒から景気失速防止へと軌道修正を始め
た。(編集委員 山本勲)
7月に入り国家指導者の地方視察が相次いでいる。温家宝首相が上海市と江蘇省、習近
平国家副主席が広東省と香港、李克強副首相が河北、浙江、王岐山副首相が山東の各省
を回った。この時期にこれだけの指導者が一斉に地方視察するのは異例である。
温首相は地方幹部や企業人に「第一に経済の比較的早い発展を維持し、大きな起落(アッ
プダウン)を回避せよ」と指示、次の課題としてインフレ抑制に言及した。
この発言は政府の経済運営の重要な転換を意味している。過去5年間、政府はもっぱら景
気過熱の抑制に力を入れ、昨年からはインフレ対策が加わった。
ところが温首相は今回、「経済の比較的早い発展」と「大きな起落の回避」を求めた。従来
の過熱とインフレ抑制の引き締め一辺倒から、失速防止を重視した政策へと転換したわけだ。
※フロー(経済成長)部分は中略>>2以降
不気味なのは、株式バブルに続いて不動産バブルも崩壊の危機にひんしていることだ。上
げ相場の先頭を走っていた広東省深●(=土へんに川)市では、年初からマンション相場が
3割強下落した。
北京市や上海市では昨年秋から価格が高騰して買い手がつかない状態となり、北京の
1-5月の商品住宅の販売面積は前年同期比49%も減った。
政府がインフレ対策の金融引き締めを続ければ、デベロッパーの資金難、経営難が急速
に進みそうだ。国内証券大手系の国泰君安証券研究所によると、「中国不動産業の今年の
資金不足は7100億元にのぼる」という。上場しているデベロッパーの年間投資額の35%に
相当する巨額さだ。
資金不足でデベロッパーの投げ売りが始まれば相場は暴落し、中国版のサブプライム
ローン(低所得者向け高金利型住宅融資)危機を招く恐れがある。
住宅ローンの返済不能者が続出すれば、銀行の不良債権問題が再燃する。金融担当の
王岐山副首相が山東省視察時に「金融リスクを防げ」と強調したのも、このあたりを意識して
のことだろう。
窮地に立たされた輸出産業と不動産業を中心に、政府の対策を求める声が高まっている。
もっともバブルをあおったデベロッパーの救済には反対論も多い。
政府も「保護する分野と圧力をかける分野を区別して対処する」(王副首相)としており、来
月にも輸出増値税の見直しなど税財政面から何らかの対策を取*ち出すとの見方が強まり
つつある。
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