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★「クリーン」な北京五輪目指し、性産業の取り締まりも強化
(写真)中国・北京(Beijing)の薄暗い通りにある「理髪店」の入り口に立つ女性
(2008年7月9日撮影)。(c)AFP/Frederic J. BROWN
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【7月16日 AFP】開催まで1か月を切った北京五輪。市内で性産業に従事する女性たちの目には、五輪の輪は
ドルそのものとして映っているだろう。だが五輪開催による「ボーナス」を期待する彼女たちの夢は、はかなく
消えつつある。市警察が五輪のイメージを損なうものとして、業界への取り締まり強化に乗り出したためだ。
23歳の「ケリー」さんは客のいない薄暗いバーの店内で「急に取り締まりが厳しくなったの。だから十分に気を
つけないとね」とぼやいた。取り締まりが強化されてから、市内ではこうした店の多くが閉店に追い込まれたという。
近隣の河北省(Hebei)から出稼ぎに来ているというケリーさんは、仲間たちの多くが逮捕され、故郷に強制送還
されたと語る。「本当に気をつけなくちゃ。いったん北京から追い出されたら、警察が市への入り口を封鎖している
から、もう戻ってこれないもの」
ケリーさんもこれまではホテルのロビーで客引きをしていたが、従業員に追い出されたそうだ。
■外国人同業者にも影響
北京市は現在、せめて五輪開催中だけでもクリーンな街に生まれ変わろうと、大変身の真っ最中だ。性産業への
取り締まり強化も、薬物使用やたん吐き、列への割り込みなどの取り締まりと同様、その一環として行われている。
取り締まりの対象となっているのは、ケリーさんのような中国人だけではない。五輪開催を前にして、治安維持の
ために外国人に対するビザ提示要請が頻繁になったため、隣国モンゴルやロシアの同業者も国に帰らざるを
得ない状況になっているという。
市内の大使館地区にあり、モンゴル人女性の斡旋(あっせん)で人気のバー「マギーズ」は、五輪閉幕まで
3か月間も「消火設備点検のため」と称して店を閉めることを余儀なくされた。
■隠れみのはさまざま
中国国内で性産業に従事する女性は現在、1000万人を超えると言われている。彼女たちの職場はいずれも
「バー」「マッサージスパ」「カラオケパーラー」「理髪店」などと呼ばれ、名前だけでは性産業にかかわっている
とはわからない。
今回のような取り締まり強化はこれまでにも何度も行われてきたが、これほど徹底されたことはなかったという。
それでも、五輪開催中に性産業を完全に駆逐するのは不可能なようだ。
例えばホテルでは、「客室内マッサージ」と称しながら、実際にはマッサージ以外のサービスを提供する
ケースもある。
■地下に潜る可能性も
国連合同エイズ計画(Joint United Nations on HIV/AIDS、UNAIDS)の中国担当、Bernhard Schwartlande氏は、
今回のような取り締まり強化により、隠れて営業を行うケースなどがかえって増え、業界の動きを制御不能に
する危険性があると指摘する。「コンドームの使用推奨がおろそかになったり、女性に対する暴力が増えたりと、
女性が被害を被ることになる」
だがモンゴルから来たという女性は真っ暗なバーで「いまはすごく大変だけど、じきに元通りになるわよ」
とあっけらかんと語った。
(AFP 2008年07月16日 09:04 発信地:北京/中国)
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