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【産経抄】7月16日
東京では梅雨もまだ明けていないというのに、連日暑い。昼下がりの電車に乗れば、あちらでもこちらでも
外回りで汗だくになった御同輩が舟をこいでいる。冷えた生ビールまであと少しですよ、と声のひとつも
かけたくなる。
▼暑さのせいかまともな判断力をなくしてしまったかのような発言をしている政治家がいる。自民党の山崎拓
元副総裁は、北朝鮮へのエネルギー支援について「(日本も)当然行うべきだ」と時事通信社のインタビュー
に答えた。
▼日本政府は拉致問題が進展しない限り、非核化措置の見返りとなる6カ国協議参加国によるエネルギー
支援に加わらないとの方針を堅持している。これが賢明な山崎先生のお気に召さないのだろう。
▼先生は、日本も米国と同じように重油を金正日総書記にさっさとプレゼントしないと核問題は解決しない、
と思い詰めておられるようだ。同じインタビューでは、「核問題が解決しない限り、拉致問題も解決しない」
ともおっしゃっている。
▼ 本当にそうだろうか。先の6カ国協議では、核計画申告の検証方法について具体的な合意はなかった。
不十分な検証で重油95万トン分のエネルギーがやすやすと北朝鮮の手に渡る危険性だって十分にある。
山崎発言は、拉致問題で進展を迫っている交渉団の後ろから鉄砲を撃つようなものだ。
▼洞爺湖サミットで議長の大役を務めても福田康夫首相の支持率は上がらなかった。大きな要因の一つに、
北朝鮮問題への取り組みに対する低評価がある。きょうから首相は、一足早く夏休みをとるそうだが、この国
のこれからを静かに考えるいい機会だ。永田町では、内閣改造だ、やれ解散だとかまびすしいが、雑音に
惑わされず、国益重視で秋に備えてほしい。
(MSN産経 2008.7.16 03:16)
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