08/07/15 20:57:12
>>1の中略部分
●清水 作品の中に臓器移植でしか助からない日本人の子供が出てきますね。国内では制度的に子供
の臓器は手に入らないし、米国などに渡ってドナーを待つ猶予もない。だから東南アジアで移植を受
ける。そこでは貧しい子供が買われ、生きたまま心臓を取られ、ドナーにされる。悲劇の背景には貧
困だけでなく、日本の臓器移植の法制度の不備もあります。先月、国内の患者団体が「国会の不作
為」と批判しました。
■梁 政治の不作為を意識して小説を書いたわけではありませんが、くしくも、こういう問題が置き
去りにされてきた。この先、どのくらい展望が開けているかというと、まだまだ疑問ですよね。日本
は一歩遅れていると思いますが、世界的にみても、解決しなければいけない課題がたくさんある。僕
は具体的な問題を書けるわけではないけど、本質的な問題として提起しているわけです。これを契機
に、日本も子供の臓器提供とか、もう一歩踏み込んで議論していけばいいんじゃないかなあと思うね。
●清水 児童買春・ポルノの問題も作品の大きなテーマです。先の国会で児童ポルノの「単純所持」
を処罰対象にする法改正が議論されました。これも一九九九年に販売などを罰する児童ポルノ禁止法
が成立して以降、先送りされてきた課題です。
■梁 規制はやっぱり必要ですよ。東南アジアだけでなく、いまでは中国でもそういう問題が起こっ
ています。格差社会が広がっていることを考え合わせれば、規制し、なくす方向の働き掛けが必要だ
と思いますよ。だからといって、なくなるかどうかは別の話ですよ。それでも「とんでもない問題
だ」と絶えず発信していかないと。野放しはまずいですよ。やり放題になる。
●清水 遠い国の話のように感じますが、貧困や格差が原因だとすると、日本だって他人事(ひとご
と)ではないってことですか。
■梁 小学校五、六年生が渋谷にあこがれて家出し、売春をやってるわけですからね。こういう子供
がこれから増えてくるかも分からないよね。何も好奇心で渋谷に出てくるわけじゃなくてね。格差社
会は一方では、お金というものに対して非常に強い欲望を持ちますから。子供だって、そういう欲望
を持っているわけですよ。