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【中国経済月報】アジア経済危機の再来を警戒
6月24日18時57分配信 産経新聞
中国がアジア経済危機の再来を警戒し始めた。海外投機資金(ホットマネー=熱銭)の不
法流入がインフレ・バブルを膨らませ、11年前のタイのように資金が一斉流出して経済が崩
壊することへの恐れである。この数年で中国に5000億ドル以上の「熱銭」が流入したにもか
かわらず、株や不動産が下げ続ける現状がこうした恐怖を増幅している。
今年に入っての熱銭の激増ぶりはすさまじい。1~4月の流入額は1300億ドルを上回り、
4月だけで500億ドル超の異常な増え方を示している。
4月の中国の外貨準備高は1兆7567億ドル(昨年末比2287億ドル増)と、先進7カ国の
合計を上回る巨額に膨れあがった。その“主犯”が熱銭の流入だ。
これだけの資金が流入すれば普通は株や不動産投資に向かい、資産バブルが膨らむ。と
ころが中国の株式市場は昨年10月の最高値(上海総合指数で6092ポイント)から下げ続
け、半値以下に落ち込んでいる。
不動産相場も北京、上海など大都市で年初来下落に転じ、深センではピークの3割安に
なっている。
昨年末までの熱銭の累計流入推計額は専門家によってかなり幅がある。張明・中国社会
科学院博士の約5000億ドルから、鐘偉・北京師範大学博士の約8200億ドルまで諸説ある。
外貨準備の増額分から貿易黒字と外国企業の直接投資(FDI)を差し引いた残額が不法
流入資金額の目安だ。しかし貿易や直接投資の申告額を偽って投機資金を出し入れする手
口も多いため、その比率をどう見るかで推計値も異なる。
ともあれ5000億ドルを超える熱銭がマグマのように滞留する一方、不動産や株式市場が
冷え込んだ現状は不気味と言うほかない。
中国人民銀行(中央銀行)が発表した、5月の国内金融機関の人民元預金総額は約43兆
元(1元は約15円)と、前年同月比20%も増えている。
熱銭を含めた企業や個人の資金が株や不動産市場から引き揚げ、銀行預金に回ってい
るわけだ。
米国が低所得者向け高金利型住宅融資(サブプライムローン)問題で昨年から利下げを
繰り返したため、中国の預金金利は米国より2%強高い。
しかも人民元は対ドルで年初来約6%上昇した。年初に人民元口座に預けた熱銭は8%の
利回り益を得た計算になる。
中国政府やエコノミストが恐れているのは、いまは銀行で鳴りを潜めている熱銭という“モン
スター”が突然暴れ出し、1997年にアジアを襲った経済危機を再現することだ。
たとえば(1)中国への世界の関心が薄れる北京五輪後(2)元切り上げ一段落後(3)米国
がサブプライム危機を克服しインフレ対策の利上げに転じたある時期(年後半か来年)--
膨れあがった熱銭が一斉に米国や欧州に流出するといった事態だ。
そうなれば中国の株や不動産市場は壊滅的打撃を受け、社会・政治不安を招く。今度は人
民元が暴落に転じ、中国の企業や不動産が外資にたたき売られ、バブル崩壊後の日本のよ
うな長期低迷を余儀なくされる。まさに悪夢だ。
ベトナム経済が今年に入り、インフレや投機資金流出によるバブル崩壊で急減速したこと
が、中国の警戒感を増幅している。アジア経済危機はタイを皮切りに、東南アジアから韓国
まで一気に広がったからだ。
人民銀行が7日、銀行の預金準備率を1%引き上げる異例の措置をとったのも、熱銭対策
だ。当局はこれまで熱銭の不法流入対策に頭を痛めてきたが、ここへきて流出管理の強化
を求める声が強まっている。
「国際資本が金融危機を仕掛け、中国の経済台頭を妨害することを警戒せよ」(上海証券
報)--このところ中国の経済メディアにこうした論調が目立つ。しかし熱銭を動かしている
主役の一人は中国企業や中国人なだけに、対策も一筋縄ではいかないのが現実だ。
(編集委員 山本勲)
URLリンク(headlines.yahoo.co.jp)
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