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ちょっとメモ兼ねて投下
読売新聞2008年6月24日6面
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仏専門家中国分析
「西欧型発展」ぱ夢物語 「第2の米国」は幻想・農村は貧困のまま
フランスを代表する社会経済問題の専門家ギ・ソルマン氏が、中国に長期滞在してまとめた近著「幻想の
帝国」を刊行した。その来日をとらえ、西欧の自由主義経済学派の論客が中国の現実をどう見たか、見解
を問いた。
◇
「中国経済を、過去の日本や韓国、あるいは19世紀末に近代工業社会へ脱皮した西欧にたとえるのは
誤りだ。国家がほとんどの企業の経営実権を握っており、むしろ旧ソ連に類似する。だが、中国経済は世界
市場の成長に依存する。ソ連型とも異なり、前例のない経済モデルといえる」
「そもそも中国経済の現状を安定へ向かう移行期ととらえるのはおかしい。人□分布でみれば、都市2億、
農村8億、いずれにも属さない流動人口が2~3億。経済全体は総人口13億の20%で実質を動かせる規模
なので、経済発展が農村の余剰労働力を吸い上げ、全体に繁栄が波及していった日本や西欧型の発展
プロセスとはなりえない。余剰の流動人口が半永久的に存続していくだろう」
「農村地域へ行くと教育、保健医療体制のはなはだしい遅れが目につく。奇妙な病気が突然流行する。
教育充実度の低さ。農業投資の制度整備もなく、農村の貧困脱却は夢物語。都市の格差拡大。本来、
工業化社会の到来とともに、労働組合とマスコミが批判力を増し、社会的ひずみの是正に貢献するのだが、
その役割をだれが担っていくのか。今回の四川大地震で学校が数多く崩壊し、児童に多数の死者が出た。
ずさんな建築が役人の腐敗と関係あると国民は受け止めた。不満はチベット族だけの問題ではない」
「権力構造のあり方にも問題が大きい。総人口の大きさに比べ、一党独裁の共産党員がわずか6000万。
しかも党員のほとんどが男で、農民、工員は少数派といびつな構成だ。また、党と国民の間に意思疎通や
不満を訴える手段がない。さらに、党指導部の権力継承にどんなルールがあるのか。これまで権力継承が
うまくいったのは幸運なだけだった」
「中国の驚異的といえる年率10%の経済成長も、かつての日本や韓国の発展とはまったく違う。ほぼゼロ
から出発したのが中国で、投資も最新技術もほとんど外国からきている。25年間いまの成長率を維持したと
しても、米国が年2・5%、日本も2~3%成長すれば、依然、中国を大きく上回る。第二の米国が誕生する
というのは幻想だろう。
私は悲観的に見過ぎているかもしれない。だが、これが中国の現実だと思う。当面、事態はこのまま推移
していくだろう。外交面でいえぱ、中国が評価する相手はリアリストだけだ。指導部は圧力に屈するような国
を内心では絶対評価しない」
(聞き手 調査研究本部・他村俊郎)
ギ・ソルマン氏 左翼思潮が主流の仏で80年代、米国のレーガン保守政権をいち早く評価し、
論争を起こす。過去に仏首相顧問、仏人権委員会メンバー。64歳。