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二つ目に気付かされる日本の社会的基盤は、ソフトウェアの文化力だ。シャープの技術力が
生かされたハードウェア「ゲームボーイ」は96年、「ポケモン」というゲームソフトと結びつき、
記録的なヒット作となった。ソフトウェアとしてのポケモンも、マンガ・アニメ・映画・
キャラクター産業にまで浸透し、今や1‐2兆円規模という市場を形成している。
本来、ポケモンは任天堂が自社開発したものではなく、工業高等専門学校出身の
ゲームフリーク、田尻智氏の作品だった。彼が任天堂に提出したソフトウェア企画書が
了承され、今日のポケモンが誕生したのだ。田尻氏は日本でマニアやフリークを意味する
「オタク」とされる人物だ。子供のとき、夢中になった昆虫採集をゲーム作りに生かした後、
自分と同じような「ゲームオタク」のための同人誌を作っているうちに、自らゲーム企画の
世界に足を踏み入れるようになった。ポケモンに登場する数多くのキャラクターは、
彼が幼いころ、東京郊外で採った昆虫にヒントを得ている。
オタクではないが、任天堂社員だった横井軍平氏と宮本茂氏が生み出した「スーパーマリオ」
「ドンキーコング」「ゼルダの伝説」といったゲームソフトも、現代日本の文化力をありありと
反映した製品だと言えよう。
花札からゲーム機へとつながる任天堂の歴史は、技術力と文化力が結びついたとき、
どれだけ大きな付加価値が生み出されるかを示している。任天堂株の時価総額8兆円から
シャープ株の時価総額1兆8000億円を差し引いた6兆2000億円は、日本の技術力の上に
日本の文化力をプラスした付加価値と言ってもいいだろう。任天堂を通じて考えてみると、
日本はすでに技術力よりも文化力としての価値の方が大きな国に成長しているのかもしれない。
そして実は、任天堂が普及させた花札一つをとって見ても、韓国における日本の文化力は、
その破壊的なパワーを十分に見せつけているのかもしれない。(終)