08/06/04 09:16:10
中国海軍が5月下旬、最新鋭潜水艦に搭載予定の弾道ミサイル(SLBM)の
発射実験を朝鮮半島西方の黄海で行った可能性が高いことが3日、防衛省や
在日米軍の情報分析で明らかになった。発射されたSLBMは開発中の
「巨浪2(JL2)」とみられる。防衛省情報本部などは細部について、
調査・分析を始めた。
防衛省によると、発射実験は5月29日に実施され、SLBMを発射したのは、
巨浪2の開発用に改造されたゴルフ級弾道ミサイル潜水艦だった。
巨浪2は飛行距離が8000キロと米国本土の一部も射程に入れられるミサイルで、
中国海軍最新鋭の原子力弾道ミサイル潜水艦「094型(「晋」級)」
に搭載される予定という。
「晋」級原潜は2004年に1番艦が進水。中国南部の海南島の軍港を拠点に
実戦配備に向けた各種航行試験を行っており、巨浪2が12基搭載できるという。
防衛省は各種情報の分析から、今回の実験で水中から発射されたSLBMは、
水面からの上昇高度が低く、飛行距離も短かったとみている。
また、米軍が、北朝鮮による弾道ミサイル発射の兆候があった場合などに展開する
ミサイル追跡艦「オブザべーション・アイランド」の投入など警戒態勢を強化した
形跡もなかった。
このため、防衛省では(1)模擬弾頭装着のダミー弾だった(2)弾頭がない
ミサイル胴体だけを水中から発射する実験だった(3)実験は失敗だった-などの
観点から分析を進めている。
防衛省は、「5月20日前後に中国軍が弾道ミサイルの発射実験を行う可能性がある」
との米軍情報を受け警戒監視を強化していた。
また同月30日には、北朝鮮が同じ黄海で艦対艦短距離ミサイル3発を発射しており、
関連性についても情報収集している。
■太平洋戦略 日米再検討も
四川大地震の救援活動が続く最中、中国が新型SLBMの発射実験に踏み切ったとみら
れることは、日米や台湾、インドなど周辺諸国に大きな波紋を広げそうだ。
巨浪2が搭載される最新鋭原潜「094型」を中国が南海艦隊の主要基地、海南島に
回航したことは、南方重視の姿勢を改めて浮かび上がらせている。
北海艦隊の原潜や東海艦隊の通常型潜水艦は、太平洋に出るには日米が警戒する
南西諸島を通過するため行動が筒抜けだった。
だが、海南島からは、比較的警戒が緩く水深が深い台湾とフィリピン間のバシー海峡を
抜けることが容易で、領有権争いが続く南沙諸島にも近い。海南島はインド洋から
マラッカ海峡を経て中国本土に向かうシーレーン防衛にも欠かせない戦略拠点だ。
その海南島に巨浪2を搭載した094型が実戦配備されれば、米本土の一部のほか、
インド本土も射程内に収めることになる。インドの「海南島への『晋』級原潜の実戦配備」
への警戒感は相当強い。
英軍事専門誌「ジェーンズ・インテリジェンス・レビュー」などは、中国海軍が海南島南部
の三亜市の海岸の山にトンネルを掘った大規模な地下潜水艦基地を建設中であると伝えている。
潜水艦は出港帰港時は浮上しており、軍事衛星での探知が可能だが、地下基地は衛星も探知
できない。このため、太平洋への中国海軍の進出を警戒する米海軍と海上自衛隊は、
太平洋戦略の再検討を迫られることにもなりそうだ。(大塚智彦)
URLリンク(sankei.jp.msn.com)
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インターネット上に公開された中国海軍の最新鋭潜水艦「晋」型弾道ミサイル搭載原子力潜水艦1番艦
URLリンク(sankei.jp.msn.com)