08/06/03 20:07:34
●「実効支配」が領有権のカギ <略>
シンガポールとマレーシアがその領有権を30年近く争ってきたマラッカ海峡東方「ペドラブランカ
(マレーシア名バトゥプテ、中国語名白礁=バイジャオ)島に関して、オランダのハーグにある
国際司法裁判所が「シンガポールに帰属する」と判決を下した。シンガポールはこれが世界中の
領有権をめぐる係争の解決に向けた有効な先例になる、と胸を張ってみたようだ。
地図:URLリンク(www.business-i.jp)
争われたのはマレー半島の南東端の約14キロ沖にある幅100メートルほどの小島。
マラッカ海峡から太平洋に向かう海上交通の要衝。ここでシンガポールが灯台を管理してきた経緯がある。
シンガポールもマレーシアも英国の旧植民地。裁判でシンガポールは100年以上前に所有国のない
「無主の地」だった同島を英国が灯台を建設するために領有し、1965年にマレーシアから独立した
シンガポールがその権利を継承して灯台を管理するなど実効支配してきたと主張した。
だがマレーシアは、この島は当時のイスラム王国に帰属していたとして同王国から領有権を引き継いだと反論。
2003年に両国が国際司法裁に提訴した。
12対4で下された今回の判決では、同島周辺の岩場の1つはマレーシア帰属を認め、もう1つの岩場は領海が
重なる場所にあるとした。判決理由の中で国際司法裁判所はシンガポール側がペドラブランカ島に国旗を掲げ、
軍が通信設備を設けたりして「実効支配」を続けたのに対し、マレーシアはこれに対抗してこなかったと指摘した。
両国は今判決に従う義務がある。
判決についてシンガポール外務省は「主張が認められた。第三者による紛争解決メカニズムの有用性を示し、
他の2国間紛争解決のモデルとなり得る」と“勝利宣言”を発表。マレーシアのライス外相も
「双方に利益がある」と一定の評価を下す形で、領海が重なる所にあるとされた岩場の帰属について、
両国で合同委員会を設けて話し合う意向を示しており、穏便な幕引きをめざすことにした。
今回の判決はシンガポールによる「実効支配」が領有権問題で「先例」となりうることを示した、
というのがシンガポール外務省と聯合早報の見方だ。だが翻って日本では、
日本海で韓国に実効支配されてしまっている「竹島(韓国名・独島)」問題はやや不利な情勢だが、
東シナ海「尖閣諸島(中国名・釣魚台)」では日本による実効支配の現状が有効と考えられる。
<略>
スプラトリー諸島はその全部または一部を中国、台湾、フィリピン、マレーシア、ベトナム、ブルネイの
6カ国・地域が領有を主張しており、それぞれが実効支配する岩礁や小島が複雑に入り組んでいる。
ここにもシンガポールのいう「先例」がポンと適用されるとなると「不測の事態」も起こりかねないのだが…。
(河崎真澄)
■訳注<略>はシンガポールの新聞と南沙諸島の説明です。
■ソース:フジサンケイ ビジネスアイ
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