08/05/17 13:14:14
【法廷から】在日韓国人にとって母国とは?
2008.5.17 12:16
URLリンク(sankei.jp.msn.com)
URLリンク(sankei.jp.msn.com)
出入国管理法違反の罪に問われた韓国籍の男性被告(58)の初公判を16日、東京地裁で傍聴した。
元在日韓国人の被告が日本に不法入国した背景には、生まれ育った日本への郷愁があったようだった。
起訴状や検察側の冒頭陳述によると、被告は在日韓国人として日本で生まれ育ったが、他人名義の
パスポートを不正使用したことから、在留資格を剥奪(はくだつ)され、韓国に渡った。だが、平成16年7月、
船で不法に北海道に上陸し、20年3月9日まで都内などで生活していた。罪状認否で被告は起訴事実を認めた。
情状証人として被告の妹が証言台に立った。
検察官「被告が日本にいるのを知ったのはいつ?」
妹「3年くらい前です」
検察官「日本にいたらダメだと言った?」
妹「言いました」
検察官「被告は何と言った?」
妹「『やり残した仕事がある』と言っていた」
黒っぽいスーツ姿の被告は、証言台の前に立ち、かすれた声で証言した。
弁護人「日本に来た動機は?」
被告「ビジネスが好きで来た。韓国では生活できない。日本でしか生活できない気持ちがある。でも、
今回捕まって韓国に住まないと仕方ないと思っている」
弁護人「本来、日本で生活するしかない?」
被告「今でも日本人という意識しかない。韓国へ行っても韓国語ができない。韓国人なのに韓国語ができないとバカにされる」
裁判官が被告の再犯のおそれについて質問した。
裁判官「また韓国に戻っても日本に戻らないかが誰しも心配していることだが?」
被告「ビジネスという考え方でなく、社会貢献という考え方で何かやっていこうと思う。ビジネスでなければ韓国でも食べていける」
裁判官「日本が母国か、韓国が母国か、私が決めることではないけれど、もう1度くれば確実に刑務所送りだからね」
被告「はい」
ここで被告は「社会貢献がしたい」と述べたが、弁護人とのやりとりでは次のように述べている。
弁護人「ミャンマーと中国の災害に寄付をしたのはどんな気持ちから?」
被告「社会貢献で何かしたい。今後も少しずつやっていく」
裁判官の質問が終わると、弁護人が挙手し、再び被告への質問を求めた。
弁護人「実の母の墓はどこにある?」
被告「日本です」
弁護人「入国の動機は墓参りをしたいというのもあった?」
被告「はい」
被告の言葉に感情の抑揚は感じ取れなかったが、言葉の通じない韓国で生活する厳しさは伝わってきた。
国籍は違えど、日本人と変わらないように生きてきた被告を韓国に強制退去させるのは酷なようにも思えた。
生まれ育った日本にはもう戻れず、国籍上の母国で一生を終えるというのは、どんな気持ちなのだろう。
検察側は「不法上陸を企て、ブローカーを介し上陸した計画的かつ大胆で悪質な犯行」として懲役2年6月を求刑した。
判決は5月30日に言い渡される。