08/04/04 19:54:52
★日本統治の遺産評価 米学者の著書、初翻訳
【ソウル=黒田勝弘】日本統治時代(1910~45年)の朝鮮(韓国)における資本主義企業の形成と発展を
実証的に研究し、いわゆる”植民地近代化論”の有力な論拠になってきたカーター・J・エッカート米ハーバード大
教授(朝鮮史専攻)の著書「日本帝国の申し子」が最近、韓国で初めて翻訳出版され話題になっている。
米国では1991年に出版され、「日本統治下での韓国人企業の実態を初めて客観的に研究したもの」として内外で
高く評価されてきたが、韓国では「日本支配を美化するもの」との感情的反発から翻訳されなかった。
日本では4年前に初出版(草思社刊)されあらためて関心を集めたが、韓国での出版は「日本統治時代を暗黒面
だけではなく多様な側面を含め実証的、客観的に見るべき」という研究者たちの新しい動きを反映したものだ。
内容は日本統治時代、代表的な民族資本で、東亜日報も創刊した「京城紡織株式会社(京紡)」とその創業者一族
の歴史を克明に調査、分析したものだ。
著書でエッカート教授は日本統治時代について「陳腐な通説と歪曲(わいきよく)された歴史認識によってその
歴史的意義が隠蔽(いんぺい)されてきた」「この時期の工業化が今日の韓国経済の形成に果たした役割は
きわめて重要である」「植民地支配はすべての朝鮮人に苦痛をもたらしたわけではなく階層によって影響は
さまざまだった」「日本は圧制者であると同時に社会経済の変化の推進者でもあった」と分析。歴史について
「正と負の両面」を含む多様な見方を強調している。
教授は韓国版の序文で、過去の韓国での批判に対し「本書は韓国資本主義の出現を研究したものであり、
歴史記述における”日本人と韓国人”とか”抑圧と犠牲・抵抗”といった民族主義的二分法から脱皮しようと
したものだ。日本の植民地支配を弁護したものではない」と反論している。
また翻訳者で研究者の朱益鐘氏(ソウル大経済学科卒)は「韓国で伝統社会を解体し資本主義経済を発展
させた起動力が外部からもたらされたことは明らかだ」とし「韓国では今なお、収奪論と近代化論の対立構図
を越えられないでいる。著者の意図を正確に理解することは韓国における近代史論議をより発展させる一助
になる」(あと書き)としている。
(MSN産経 2008.4.4 19:24)
URLリンク(sankei.jp.msn.com)
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