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★教科書検定:「未完」ネット事典、引用可 高校英語に「ウィキペディア」の地図
◇07年度の結果公表、議論呼ぶ文科省判断
文部科学省は25日、07年度の教科書検定結果を公表した。インターネット上の百科事典「ウィキペディア」から
図を転載した高校生向け英語(リーディング)の教科書について「国境線が不正確」と検定意見をつけたが、図の
使用自体は認めた。ウィキペディアはネット上で誰でも編集でき、正確性は保証されていない。「安易な引用」
との指摘もあり、文科省の判断が議論を呼びそうだ。【加藤隆寛】
検定申請したのは、大阪市の出版社「増進堂」。英語の長文に「死刑制度の世界地図」という図を付け「07年、
ウィキペディア」と出典を記した。図では、死刑制度のある国や廃止した国などが色分けされている。
検定意見を受け、出版社側は国境線を修正。文科省は「図の出典の明記を求め、不正確な個所には意見を
つけている。特に(引用に)異論は出なかった」と説明している。
ウィキペディアには、この図の基となる死刑制度の国別リストも掲載されているが「リストは不完全」などと
書かれている。25日現在、ネット上の図は教科書転載の図とは異なり、韓国やラオスなどが「死刑のある国」
から「事実上廃止された国」に変わった。
編集部は「人権団体の資料と照らし合わせ、図は正しいと確認した。引用は問題ないと思うが、学校現場の
反応を見て作り直すことも検討する」としている。(中略)
◇引用になじまない--メディア教育に詳しい藤川大祐・千葉大准教授の話
情報の裏をどう取ったのか明示しないと、安易に転載した印象を与える。ネット情報を切り張りした学生のリポート
作成が社会問題化し、メディアリテラシー(批判的に読み解く能力)の養成が課題となっている中で、出版社は
生徒への影響を考えるべきだ。何かを知る入り口にウィキペディアは便利だが「書き足し、変えていく」情報の
特性から教科書などへの引用にはなじまない。(後略)
(毎日新聞 2008年3月26日 東京朝刊)
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