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【北京五輪】大気汚染への懸念が再燃 改善アピールも認識に溝
2008.3.16 18:23
URLリンク(sankei.jp.msn.com)
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【北京=川越一】
マラソン男子の世界最高記録保持者、ハイレ・ゲブレシラシエ(34)=エチオピア=が10日、
大気汚染と高温多湿を理由に北京五輪でのマラソン出場を回避する意向を示した。
中国政府などは翌日から具体的な改善策を公表して翻意を促しているが、他の有力選手も
追随する可能性が指摘され始めた。
「中国の大気汚染は私の健康にとって脅威であり、現状では42キロを走るのは厳しい」。
ゲブレシラシエの気持ちが、マラソン欠場に大きく傾いた。
無類の強さを誇るゲブレシラシエだが、実はぜんそくと花粉症の持病を抱えている。
現在の目標は自己の持つ世界記録(2時間4分26秒)の更新。
さらに2012年ロンドン五輪までの現役続行を望んでいる。
記録更新に付随するボーナスがほしい、という裏事情が見え隠れするが、今後の競技生活のために、
わずかなリスクも避けたいという部分もある。
そして、ゲブレシラシエの代理人は「他の選手が彼に倣うのではないか」と指摘する。
例えば女子テニス世界ランキング1位のジュスティーヌ・エナン(25)=ベルギー。
エナンは昨年9月、ぜんそくが再発して中国オープンを欠場しており、五輪欠場のうわさが絶えない。
マラソン女子の世界最高記録保持者、ポーラ・ラドクリフ(34)=英国=もぜんそく持ち。
多くの選手が大会には出場するものの、試合直前に北京入りして開会式を欠席する可能性もある。
有力選手の発言で再燃した懸念に対し、全国人民代表大会(全人代=国会)で中国政府は敏感に反応した。
中国環境保護総局の張力軍副局長は11日の記者会見で「6月までに必要なすべての対策を講じる」と宣言。
五輪期間中は北京、天津、河北省の工場の操業を一時停止することを明らかにした。
また、北京市はナンバープレートの偶数奇数による交通規制に踏み切るほか、政府公用車や各企業の
社用車の5~7割の使用を停止することも検討している。
しかし、その一方で翌12日、楊潔●(簾の广を厂、兼を虎)外相は「北京の大気は改善されている。
選手のほとんどが大気や環境、競技施設に満足するだろう」と述べ、多くの世界記録が北京で更新
されていると主張した。だが、ゲブレシラシエは2月上旬に北京を訪れた上で判断を下した。
テスト大会に出場した各国・地域の選手も不安を膨らませている。中国側と選手の認識のズレは隠せない。
二酸化硫黄、二酸化窒素などは基準値に達したとされるが、浮遊粒子状物質は世界保健機関(WHO)の
定める基準値の6倍といわれる。「正直言って、北京では歩くことだって難しい」とゲブレシラシエ。
もし、選手がマスク着用で競技開始を待つような映像が世界に届けば、中国にとってはイメージダウンは避けられない。