08/03/10 08:24:08
>>1
※続き
繁華街に近い児童館をのぞくと、子どもたちが中高年ボランティアと一対一で向き合い
ながら勉強していた。小林普子代表は「日本語が少し話せるだけでは、授業はわからない」
という。
公立の小中高校に在籍する7万余の外国人のうち、2万2000人に日本語指導が必要
だと文部科学省はみる。だが文科省が認める日本語教師の数では足りず、市町村が
独自に負担している。指導も会話が中心で、読み書きが弱いことが授業に遅れる原因に
なっている。
親への教育支援も大切だ。言葉がわからないとご近所と交われず、子どもの進学相談
にものってやれない。
労働の面でも課題は山積している。
医療・年金・雇用保険への加入を進め、正社員への門戸も広げて、働く環境を安定させる。
外国人を多く使っている企業は、そう努めるべきだ。
いまの研修生・技能実習生制度にはきわめて問題が多い。雇用主による給与ピンハネ
や残業代未払いなどの不正が横行し、研修生には最低賃金も適用されていない。
人権侵害の制度と言わざるを得ない。正面から労働者と位置づけ、根本的に改革しな
ければならない。
要は、外国人を単なる「安い労働力」ではなく、人格を持った「隣人」として受け入れる
ということである。
グローバル経済のもとで、高度な技能や知識をもった人材の獲得競争が世界的に
起きている。能力を公平に評価し、有能な人材には経営や研究をまかせる。
そのようにして、世界の人材を引きつける「ジパング(黄金の国)」となることをめざして
いこう。
外国人との共生社会を築くには、お互いの文化や習慣、微妙な心情への理解が
欠かせない。両方の言葉を話し、橋渡しができる人材を増やしていきたい。
定住から永住、国籍取得への手続きを容易にするのは自然なことだ。同時に、永住外国人
は納税して社会を支えていることを考えると、地方参政権を全く認めないのは公平を欠く。
難民への門戸も、人道主義の立場から広げるべきだ。
第2次世界大戦後、日本は「単一民族神話」のもとで戦後秩序を築き上げた。かつての
渡来人や北海道のアイヌ民族などを考えれば、単なる神話にすぎなかったのだが、
これからはそれどころではない「多民族社会」となっていく。
その覚悟を決め、神話の壁を乗り越えてこそ、21世紀にも日本は活力と魅力を保つ
ことができるだろう。
ソース:朝日新聞
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