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★2010年度に3000万台!“テレビのソニー”壮大な野望
液晶パネルの安定調達先として、ソニーはシャープを選んだ。シャープが堺市に建設中の新工場を分社化、
その34%を出資する。投資額は1000億円以上に上る。
すでにソニーは、韓国サムスン電子との合弁会社、S-LCDからパネルを調達している。シャープとの合弁設立を
発表した席では明らかにされなかったが、S-LCDへの1000億円規模の追加投資も内定した模様だ。
S-LCDに累計で約3000億円、シャープに約1000億円という大枚をはたいて、ソニーが是が非でもパネルを確保
するのには訳がある。テレビで世界ナンバーワンシェアのサムスンを蹴散らし、ブラウン管「トリニトロン」時代の
王座を奪還しようというのだ。
じつは、5月に発表される中期経営計画において、ソニーはサムスンも恐れる壮大な構想を描いていると見られる。
2007年度に年間1000万台としている世界の販売台数を、2008年度に2000万台、2010年度に3000万台まで増やそう
というのだ。
対するサムスンは、今年度1800万~2000万台を見込んでいるが、「ソニーの計画次第では、上方修正する」
(サムスン関係者)見込みで、まさに一騎打ちの様相を呈してきた。
ソニーがそれほどまで執着するテレビ事業は、いまだ通期の赤字から脱却できない。今後、シェアの拡大によって
規模の経済を発揮できること、サムスンとシャープを天秤にかけることによってコストダウンを期待できることで、
利益を押し上げはするだろうが、液晶テレビの価格破壊は止まらない。
一時は米国を中心に3000億円を売っていたリアプロジェクション(背面投射型)テレビも、市場から退場しつつある。
もっとも、仮にテレビ事業が赤字を続けても、ソニーには、ビデオカメラ、デジタルカメラなど、稼ぎ頭の周辺機器
がある。その強さを維持するためにも、“家電の顔”であるテレビで席巻、「SONY」ブランドの強さを見せつけよう
という狙いもあるのだろう。
ソニーの総資産はパネルへの投資約4000億円を含め、13.5兆円にふくらんでいる。金融事業を抱えているとはいえ、
現預金を除けば、松下電器産業の倍の規模だ。“テレビのソニー”の覚悟を決めたからには、半導体事業に続く次の
アセットライト(資産圧縮)が必要だろう。
(『週刊ダイヤモンド』副編集長 遠藤典子)
(2008年03月03日 週刊ダイヤモンド編集部)
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