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追跡京都2008:宇治・ウトロ地区土地問題 韓国国民の力が世論喚起 /京都
◇買い取りが唯一の解決法--KINの〓さん
◇日本政府、町づくり過程で責任果たせ
戦中の軍用飛行場建設がきっかけで、その労働力となった在日コリアンが土地所有権
を持たないまま長年暮らしてきた宇治市のウトロ地区。住民の土地買い取り費用を
支援するため、韓国政府が30億ウォン(約3億6000万円)を拠出することが昨年末に
決まった。この動きの背景には、国会議員への陳情や募金活動を展開したNGO
「コリアン・インターナショナル・ネットワーク」(KIN、本部ソウル)の存在が挙げられる。
ソウル市内で、中心メンバーの〓芝遠(ペジウォン)さん(36)にインタビューし、「韓国
の立場」からウトロについて語ってもらった。【新宮達】
04年秋に韓国・春川市を訪れたウトロ住民4人が地区への熱い思いや支援を訴えた
際、その新聞記事を見て関心を持ちました。05年2月、初めてウトロを訪れ、住民から
ここに来た経緯や生活の実態、韓国政府に何を求めたいのかを聞きました。彼らの
置かれた立場を、同じ民族としてとても悔しいと思った。彼らはよく生きてきたと思う。
支援運動は、日本政府の責任追及と住民の居住権を守ることに主眼を置きました。
本来は土地の買い取りを含め、すべてを日本政府がやるべきです。でも日本政府は、
国連や韓国政府との外交交渉などでウトロ問題が上がっても韓日基本条約を盾に
動かなかった。だから、土地を買い取ることが唯一の解決方法で現実的な方法と確信
したのです。
募金キャンペーンをすることで、多くの市民が応じれば国会議員や政府も動かざるを
えなくなり、韓国が動けば日本政府も動くだろうと。韓国で14万人が募金に応じてくれ
たが、この人たちの思いを無にすれば韓国政府にとっては「大きな失政」になったはず
です。募金に応じた市民の力が世論を喚起したのです。
日本政府には今後、町づくりに取り組む過程で責任をきちんと果たしてほしい。補償の
意味合いを込めて、公的住宅に住む住民の賃貸料を無料にするとか。地区外に出て
行った住民の子孫が戻り、誇りを持って住み続けられるように取り組んでほしいのです。
ウトロは私の人生にとってかけがえのないものになりました。住民は当初、信頼してく
れなかったし、日本の支援グループと意見が対立したり、韓国外交通商部と言い合いを
するなどつらい思いもしました。だけど、楽しかった。住民の喜ぶ顔のイメージが最初
から頭の中にあったからだと思います。
◇協議会立ち上げ対応模索
国土交通省と府、宇治市は昨年12月、「ウトロ地区住環境改善検討協議会」を立ち
上げ、公的住宅建設などを視野に入れながら対応を模索している。
KINと連携し、募金運動を展開した韓国の財団法人「美しい財団」の朴元淳(パクウォ
ンスン)総括常任理事(51)は「ウトロが形成された歴史的経緯や人権侵害から考えて、
日本政府は政治的かつ道徳的な観点からも責任を果たしてほしい」と希望。尹貞淑
(ユンジュンスク)常任理事は「ウトロは、戦争など今も解決されていない過去の象徴。
ウトロのような存在を将来作ってはいけないとの意識をみんなが持たなくてはいけない」
と話している。
ソース:毎日新聞(京都版)
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