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■生きている人間がどうして「現人神」になることができるか
[問題]次のうち正しいものは? (1)日本国憲法第1条は天皇に関する条項だ。 (2)今日の日本の
若者たちは、近代天皇制とその害悪についてよく知らない。 (3)近代天皇制国家の教育理念を提示
した「教育勅語」は日本の教育に悪影響を及ぼした。 (4)天皇制は日本人の思考と心性を根深く歪曲
してきた主犯だ。 (5)一木一草にも天皇制が宿る(竹内好『権力と芸術』)。 (6)日本の民衆はもちろん、
天皇や皇族も近代天皇制の犠牲者だ。
『日本人と天皇』は、日本の天皇制の正確な実態と多大の弊害、望ましい克服案を提示したマンガ
だ。マンガだからと言って首を傾げたり見下してもらっては困る。数十ページの別途参照文と、多数の
引用文献に裏付されて内容が非常にがっしりしている。大学サッカー部を中心としたストーリー展開
も自然だ。そのうえ著者の雁屋哲は、有名な『美味しんぼ』シリーズの原作者だ。<中略>
著者は天皇制を、日本人が容易に脱しえない「くびき」、日本が真の民主主義社会に発展することを
妨げる重い「荷車」だとする。すなわち、天皇制こそ明治維新以後の日本人の思考と情緒、社会的規
範と個人的価値観を抑圧してきた主犯として日本を戦犯国とし、現在でも日本人を精神的奴隷にして
いるというのだ。冒頭で天皇制について記した選択枝も、すべて事実であり真実だとする。
「本来暴力集団だった武士階級が権威を受けようと天皇を必要としたのであり、天皇は一般国民とは
縁の無い存在だった。そうした天皇を急に『現人神』として推戴し、崇拝を強要したことこそ、近代日本
が経験しなければならなかった不幸の根源と言えるだろう。生きている人間を『現人神』として祀る非
合理性が、日本を極端な独善的精神主義に追いたてた。そして、その終着駅で日本は自分勝手に
『八紘一宇』『大東亜共栄圏』のような空虚な言葉を並べたて、遂には無謀な戦争を始めて結局自滅
してしまったわけだ。」(45ページ)
良心的な日本知識人の分析と省察が輝く記述だ。いくら大衆的に多くの人気を享受している作家で
あっても、このような発言と表現はややもすると強烈な反発を呼ぶ可能性もあるから、決して容易では
ないものだ。しかし雁屋氏は同書全般にわたって、少しの躊躇や恐れもなしに、天皇制を今すぐ無くさ
なければならないと堂々と主張する。知識人とはこのように、自分の危険などは眼中に置かずに真実
を明らかにし真理を擁護する存在だ。<中略>
著者は韓国語版序文で、この本は韓国の読者のために書いたものではないと表明している。日本が
どうして合理的で理性的な状態に進むことができないのかを科学的かつ合理的に究明し、実質的に
解決したかったのだという。ただ、両国間の友好を増進するためには日本と日本人を正しく理解して
天皇制についての正しい見方を持つように願う、と謙遜する。
しかし、読んでみれば直ちに分かる。この本は、かつて35年間の植民地支配を受け、いまだに社会
体制や経済実態、思考や意識などで日本から完全に独立することができていない我が国、いまだに
植民地体制の産物である分断現実を乗り越えることができないでいる我が国の社会にも、近代天皇
制の残滓が厳然として存在していることを語っているのだ。
雁屋哲の『日本人と天皇』は、マンガと漫画家、日本人に対する固定観念と偏見を一気に崩すだろう。
また、日本が単なる隣国ではなく、現在の我が国社会の矛盾を理解して正すにあたって、今なお強
力な反面教師であることを理解させてくれるだろう。日帝強占期時代、日本の民衆も朝鮮人と同じく
抑圧されて暮していたという事実、そして今なお日本と韓国の民衆は天皇制と一体となった日本帝
国主義の病弊から脱することができていないという事実を、はっきりと確認させてくれるであろう。
日本が天皇制から脱するとき、そして我が国に残っている日帝の否定的な病弊を追い出したとき、
両国の発展はもちろん友好関係も新たに堅固なものとなり、両国国民も望ましい生を精一杯享受
できよう。今なお我が国の中に潜んでいる「天皇」も、必ず殺さなければならない。
【許ビョンドゥ崇文高校教諭/「本で暖かい世の中作る教師の会」代表】
▽ソース:朝鮮日報(韓国語)(2008.01.16 22:23)
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