08/01/06 23:09:27
■日本統治時代、再評価?韓国で「京城ブーム」
【ソウル=黒田勝弘】韓国で“京城ブーム”が起きている。「京城」とは韓国(朝鮮)が日本
に統治されていた時代(1910~45年)のソウルの名称。韓国では近年、日本統治時代
の歴史を収奪、抑圧、抵抗だけの「暗黒史観」ではなく、近代化による社会や人びとの多
様な変化を発掘し再評価する、歴史見直しの動きが活発だ。それがさらに大衆的な広がり
を見せ、新年には30~40年代が背景の映画が続々、公開される予定で話題になっている。
■韓国映画、ドラマに続々
すでに昨年、テレビドラマ「京城スキャンダル」や映画「奇談」、演劇「テレホン・モダンガール」
など当時の世相を素材にした京城モノが登場し注目された。今年は映画だけでも「ラジオ・
デイズ(ラジオ時代)」や「モダンボーイ」「ワンサポナタイム(もういちど)」「いいヤツ、悪い
ヤツ、おかしなヤツ」などが封切り待ちだ。
韓国で日本時代が登場するドラマや映画といえば、もっぱら抗日独立運動がからんだ愛国
モノだった。しかし最近の作品は「モダンボーイ」「モダンガール」で象徴されるように、当時
の新しい文化や風俗、人びとの新しい生き方などを描いたもので、“抗日”は添え物にすぎ
ない。
30年代のソウル(京城)は、日本経由でもたらされた近代的な洋風文化が人びとをとらえ、
洋装ファッションはもちろん喫茶店、カフェ、レストラン、映画館、百貨店などが定着した。
思想的にもマルクス主義やアナキズム(無政府主義)、デカダン(退廃主義)などが流入し、
ラジオドラマが人気を呼んだ。
新時代、新文化の中で新女性など新しい人間像が生まれたが、それらはこれまで韓国で
歴史教科書などを通じ教えられてきた「暗黒の日帝時代」のイメージとは異なるもので、
若い世代を中心に関心を呼んでいる。
京城ブームのきっかけは、当時の新聞漫画を紹介した本「モダンボーイ、京城をぶらつく」
(2003年出版)といわれ、以降、「京城奇談」「黄金狂時代」「ラッキー京城」「京城哀史」
「京城の劇場漫談」など京城モノの出版が続いている。
こうした“歴史見直し”についてマスコミは「日帝時代にも楽しいことはあったという視角で
30年代を新しく見ようという試み」(ハンギョレ新聞)であり、「今や慰安婦や強制労働、
貧困など低開発の汚らしい記憶に代わり、われわれもどこか、カッコよく洗練された過去
を持つことになった」(週刊ハンギョレ21)などと評している。
また、ある文芸評論家は「日本植民地時代を抑圧と搾取の暗い半封建的状態だったとする
考え方から抜け出し、現代的な生き方が確立する時期だったという歴史的事実を映画や
文学などがいち早くとらえたもの」(韓国日報)と評価している。
▽ソース:産経新聞
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