08/01/02 21:38:57
今年、オリンピックを迎える中国だが、経済成長の一方で深刻な格差の問題が生じて
いる。中国政府は、格差の解消に大きくかじを切ろうとしている。中国総局・宮崎紀秀
記者が報告。
中国が改革開放政策に踏み切ってからちょうど30年となる今年は、その成果を強調
するキャンペーンが展開される見通し。「豊かになれる所から先に豊かになれ」とした?
鄧小平の政策は確かに中国経済をけん引し、国内総生産(=GDP)を世界第4位にまで
引き上げた。しかし、国内を顧みれば、その恩恵に浴する者とそうでない者との格差が
余りに広がり、中国の現指導部にとってその解消が最大の責務となった。
中国で所得番付の上位を占めているのは、ほとんどが不動産業者だ。新たなビルが
次々と建設される一方で、権力と結び付いた開発業者が正当な法的手続きや十分な
補償をせず、住民を強引に立ち退かせる例が私たちの前にも幾度となくさらされた。
こうした事態に、中国政府は違法な収入に対する取り締まりを強化したり、地上げで
得た利益に対する税率を上げだりするなどの対策に乗り出している。
中国ではこれまで、都市と農村との格差が問題視されていたが、今や都市の内部に
おける格差も無視できないものとなった。その象徴が、農村から出稼ぎに来ている
「農民工」と呼ばれる労働者たちだ。彼らは教育や技能があるわけでなく、都市に出て
きても建設現場などでしか職を得ることができない。こうした農民工のような移動人口
は全国で1億4000万人、全人口の1割以上に上るとされる。劣悪な労働環境に
置かれた彼らに、正当な報酬が支払われないことなども少なくない。
1月1日から施行された「労働契約法」は、雇用者側に経済補償や社会保険料の
負担を義務付けるなどしている。競争社会における弱者対策に、中国が遅ればせながら
乗り出した一例とも言える。
今や、国民誰もが知ることになった格差問題を解決できなければ、現政権、すなわち
共産党政権は国を率いる唯一の権力としての正当性を失うことになる。
「寡(すくな)きを憂えず、均(ひと)しからざるを憂う」という孔子の言葉がある。
中国指導部は共産党による一党独裁を今後も維持し続けるために、今、この言葉に
立ち戻らなくてはならない。
ソース(日テレNEWS24) ※ソース元に動画あり
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