07/12/19 00:41:01
温浴や水浴ができ、健康増進や美容のためのプログラムを提供する「スパ」。
国内外にさまざまなタイプのスパが増えているが、最近では自然治癒力に注目して心と体の健康を回復する「ホリスティック医療」をメーンにしたスパが海外を中心に注目されているという。
フィリピン取材の折に、そんな新しいスパを訪ねた。（栫井千春）
成田空港から４時間あまりでマニラ国際空港へ。車で渋滞するマニラ市内を抜け、高速道路に入り、さらに田舎道を行くこと約３時間。めざす「ザ・ファーム・アット・サンベニート」は、
マニラ市中心部から南へ約１２５キロ。ルソン島の南部、バタンガス州の山の中にある。
「ザ・ファーム」の名の通り、古いヤシ農園を転用した施設で、４９ヘクタールの敷地に２５室の宿泊施設、マッサージ棟、レストランなどが散在する。周囲の森は長く人の手が入っていないので、
ジャングルのように見える。熱帯の日差しは強いが、ヤシの木の間をわたる風は意外にさわやかだ。
到着した客は血液検査など医師の診断を受ける。そして医師やカウンセラーのアドバイスに従って、それぞれの体にあった治療プログラムを受ける。治療といっても西洋医学ではなく、
有機栽培された植物性食品をとりながら、自然の中でマッサージを受けたりヨガを行ったりする。人間が本来持っている自然治癒力を引き出して病気や体の不調を治すホリスティック医療である。
この施設で提供される食事はすべて「ローフード」だ。直訳すると「生食」だが、４２度以下という低温で調理された料理を意味する。食品にはさまざまな酵素が含まれているが、
熱に弱い酵素を破壊せずに摂取する工夫だという。最近は健康志向で日本でも注目され始めているそうだ。
素材はすべてザ・ファームに設けられた農園で栽培された野菜や果物、ココナツで、肉や魚、乳製品は一切使わない。またアルコールは、有機栽培されたブドウを使ったワインがあるのみ。
それにしても、天ぷらまでも熱を加えないローフードなのには驚いた。“衣”は揚げたものではなく、ナッツ類の粉を植物性のオイルでまぶしているらしいが、見た目は天ぷらそのもの。
もちろん具材はブロッコリー、ニンジン、カリフラワーといった野菜のみで、味は西洋精進料理といった趣だ。少し物足りない気がしたのは、普段脂っこいものを食べ過ぎているからだろう。
スケジュールの関係で、ザ・ファームではマッサージを体験することはできなかったが、マニラのホテル内スパでフィリピン式マッサージ「ヒロット」を受けることができた。
女性セラピストがココナツオイルを使い、全身をもみほぐしてくれる。
ココナツオイルの甘い香りはリラックス効果満点で、移動に疲れた心と体を癒やすには十分だ。順調なフィリピンの経済成長にも支えられ、このところマニラ市内のホテルには都市型のスパが増えているという。
ザ・ファームは一番近い町まで車で２０分ほど、周囲に遊ぶところがあるわけでない。外界から隔てられ、自然療法を受けながらゆったり過ごす。禁欲的で僧院のような雰囲気は、レジャー主体のリゾートとは対極にあるように思える。
しかし、ストレスの多い現代社会では、ひとつの究極のリゾートかもしれない。
ソース：ヤフー
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