07/12/15 16:45:01
★泰安沖原油流出：「タールボールが観光客奪った」
◆「安眠島を守れ！」
国際的な「海のレジャー都市」を夢見てきた安眠島が「黒い災害」の前に危機にさらされている。
「ああ、このちっぽけな塊がお客さんを奪うと思うと、おかしくなってしまいそうだ」
14日午後、忠清南道泰安郡安眠邑（邑＝行政区画単位の一つ）の白沙場海水浴場。海辺にしゃがみ込み、
小指のツメほどの真っ黒なタールボール（原油が蒸発し残ったカスが粘度を増した塊）を拾うムン・ミョンギュ
さん（57）の目には焦りの色が見えた。16年間この海水浴場で刺身店を経営し生計を立てて来たムンさんは
「ここに出て来て欲しいという放送を聞き、4時間もタールボールを拾っている」と力なく言った。
泰安郡沖でタンカーの原油流出事故が発生してから8日目の14日、「あの世からの使者」のようなタールボール
がついに安眠島海水浴場に到達、島民は焦燥しきっている。タールボールはやがて「油の帯」が襲うということを
知らせる前兆だからだ。事故対策本部によると、同日午後、安眠島白沙場海水浴場からコッチ海水浴場に至る
海岸約10キロは大量のタールボールに見舞われた。また、安眠島から南西約10キロ離れた忠清南道保寧市
鰲川面の狐島でも、薄い油膜と共にタールボールが発見された。
（写真）URLﾘﾝｸ(file.chosunonline.com)
忠清南道泰安沖の原油流出被害を受けた現場が衛星カメラにとらえられた。事故発生から5日目の韓国時間
11日午前10時40分、欧州宇宙機関（ESA）の衛星エンビサットが撮影。／写真提供＝欧州宇宙機関
◆島民1800人が回収作業
安眠島の島民たちは生活基盤を失わないよう力を尽くしている。この日午前9時30分ごろ、安眠島パッケ海水浴場
には作業服姿の島民が集まった。全員、片手に15リットル入りのプラスチック製バケツを手にしていた。2キロもの
長い海岸に島民約700人が3‐4メートル間隔で整列したかと思うとしゃがみ込み、押し寄せる波が残していった
タールボールを拾いバケツに入れ始めた。目が悪いお年寄りたちは砂に鼻がついてしまいそうなほど頭を下げ、
タールボールを集めていた。この島で民宿を経営するユン・ギョンジャさん（63）＝女性＝は「とうとう恐れていた
ことが起きてしまった。ゆうべは海洋警察庁の職員が “心配しないで”と言っていたが、これは一体どういうことなの」
と不満の声を上げた。
この日、安眠島で回収作業に当たったのは1800人余り。島民1万人の20%近い人が作業したことになる。
安眠邑のク・ホソプ副邑長は「昨日（13日）夜、安眠島内の28ある里（里＝行政区画単位の一つ）の里長を
全員集め、対策会議を行った。その後、里長たちは集落ごとに設置されているスピーカーで“明日（14日）
海岸に出てきてください”と放送した。島民のほとんどが事情の深刻さを理解し、協力してくれるのが救い」と話す。
一部の島民は船に乗り、西に13キロ離れた三島付近に出て回収作業を行った。この日、作業に当たった船は
計67隻。ヘウン号の船員ユ・ヒョジュさん（51）は「3日前まで海上にタールボールはあまりなかったが、今日は
片付けても片付けてもきりがなかった」と言った。
◆飲食店・民宿の予約はほぼゼロ
特に、無念の思いをしているのは飲食店・民宿の経営者たちだ。事故発生直後から予約はほぼゼロになって
しまった。普段、白沙場海水浴場周辺の飲食店約20店には島外から観光客が多数訪れるが、同日午後に
客が入っていたのは4店しかなかった。
安眠島では計5000世帯のうち、約1000世帯が飲食店・宿泊業に携わっている。毎週末には平均9万人が訪れる
観光地だ。「安眠島にも流出した原油が到達しているだろう」という心配が広がり、観光客は激減している。
島民で刺身店を経営するシン・ジョンスクさん（37）＝女性＝は「海の水はきれいで臭いもしていないから、
観光客の皆さんは安心してきて欲しい」と涙を懸命にこらえて訴えた。
泰安＝キム・ウソン記者
（朝鮮日報／朝鮮日報JNS 2007/12/15 11:07:46）
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