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かつてイギリスの植民地であったインドは、香辛料などの原材料を輸出してイギリスを相手に
多額の黒字を計上していた。ところが黒字はルピーではなく、ポンドを使って決済され、その
ままイギリスの銀行に預けられていた。
だからイギリスはいくら植民地を相手に赤字を出しても平気だった。イギリスの銀行に預けら
れたポンドを、イギリス国内で使えばいいからだ。インドは名目上は債権が増え、お金持ちに
なったが、そのお金をイギリスの銀行から自由に引き出し、自分の国では使えなかった。お金
の使い道は預金者ではなく、イギリスの銀行が決めていたからだ。そしてもちろん、イギリス
の銀行は国内の人々に貸し出した。
イギリス国民は植民地から輸入した品物で生活をたのしみ、しかもしはらったポンドもイギリ
スの銀行に吸収され、イギリスのために使われるわけだ。こうしてイギリスはどんどん発展し
た。 一方植民地はどうなったか。インドは商品を輸出しても、その見返りの代金はポンドでイ
ギリスに蓄積されるだけだから、 国内にお金がまわらなくなる。どんどんデフレになり、不景
気になった。
仕事がきつくなり、給料が下がり、ますます必死で働いて輸出する。ところが黒字分の代金は、
ポンドのまま名義上の所有としてやはりイギリス国内で使われる。こうしていくら黒字を出し
てもインドは豊かになれなかった。 そして、赤字を出し続けたイギリスは、これを尻目に繁栄
を謳歌できた。 このイギリスとインドの関係は、そっくり現在のアメリカと日本の関係だと言
ってもよい。
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