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特定非営利活動法人コンピュータエンタテインメントレーティング機構(CERO)が実施している、
家庭用ゲームソフトの“年齢別レーティング制度”に関する調査報告書、『テレビゲームと
レーティングの社会的受容に関する調査報告書』が2008年8月5日に発売された。
これを受けて日本デジタルゲーム学会は2008年8月29日、東京大学本郷キャンパスにて公開講座
“「テレビゲームとレーティングの社会受容」調査レビュー~テレビゲームのレーティングを社会は
どう捉えているか~”を開催。
渋谷明子氏(慶応義塾大学研究員)はいまから1年ほどまえにCEROからレーティング機構の
社会的需要に関する調査依頼を受託。そこで、ゲーム関わりのある人の中からとくに重要と
思われる“大人のゲームユーザー”、“子供、青少年、青少年保護者”というユーザー層をピック
アップし、複数回にわたってグループインタビューを実施した。
レーティング制度を語るうえで外せないのが暴力表現に代表される禁止表現の問題。これに関しては
とくに盛んな意見交換が行われたようで、その内容も「法律違反にならない限り、Z区分禁止表現は
撤廃してほしい」(大人のゲームユーザー層)、「禁止表現があると安心できる」(保護者)といった
具合に、大人のゲームユーザーがレーティングを“きびしすぎる”と認識しているの対して、保護者は
“野放し”と考えるなど、答えが真っ向から対立する結果に。
肝心のレーティング制度そのものに関する意見はどうだろうか。こちらはZ区分問題とは対照的に
「レーティングはよい。浸透していないのがもったいない」という意見に代表されるように、いずれの
ユーザーも高く評価している結果となった。渋谷氏は、レーティング制度への社会的需要は高いが、
その存在、内容はともにまだまだ認知不足であると分析。
続いて新清士氏(ジャーナリスト、IGDA日本代表)より“有識者へのインタビュー調査”に関する
報告が行われた。「よくわかったのは、すべての識者が“ゲームの持つ影響力”に関して、
まったく意見が共通していないということです」と切り出した新氏。
識者の意見をいくつか挙げると「日本の表現にはZ区分の上に当たる区分があるが、これは世界的に
見てもきびしい」、「CEROのレーティングは(メーカーからの)自己申告制なので、ちゃんと作品を見て
判断してほしい」、「(レーティングの存在を)親が知らない、知っているのは子供だけ」、「消費者側から
見れば業界の隠れ蓑的に、業界からは開発の足枷と捉えられている」など、かなり手厳しいものも
複数見られた。
佐々木輝美氏(国際基督教大学教授)と猪股富美子氏(お茶の水女子大学アソシエートフェロー)は
それぞれ、数字によるアプローチでレーティング制度に対する社会の反応を分析した。調査対象の
絶対数が少ないことを考慮しつつも、レーティングに関する苦情は非常に少ないと判断。「マスコミの
取り上げかたによって、ゲームは大変なものと捉えられてしまっているのかもしれない」と分析した。
一方の猪股氏は、消費者の視点からレーティング制度の受け入れられかたを把握するために
“国民生活センター”のデータベース、“PIO-NET”を利用して、テレビゲームに対する苦情・相談の
実態調査実施。その結果、PIO-NETに寄せられたすべての苦情・相談(670万件強)のうち、
テレビゲームに関するものは1143件で、その中でレーティングに関するものはわずか7件しか
ないことが明らかになったと報告した。
ゲームの内容に関しての苦情申し立ては、消費者センターよりも、メーカーなどに行ってしまう
可能性が高いとし「苦情などの受け口が設けられていないのは制度不備。国民生活センターとは
別のものを設けなければ、(正確な数字を)拾いあげるのは難しい」と自身の考えを述べた。
ファミ通.com(一部略)
URLリンク(www.famitsu.com)
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