08/08/31 14:44:28
―マンガなどのコンテンツ産業が今後も伸びていく方策は?
麻生「最近はテレビゲームも日本の有力コンテンツになっているけれど、そうしたコンテンツの
付加価値を理解できる人がどれだけその産業にかかわっているのかが気になるね。付加価値の
管理をきちんとやれば、とてつもないお金が日本に入ってくると思う。著作権管理とか、まだまだ
甘いんじゃないのかね」
川端「私はコンテンツ制作にかかわっている人たちの生活が気になりますね。たとえば、
経済産業省が作成した『アニメーション産業の現状と課題』によると、テレビアニメーション番組の
ビジネスは本当にひどい。スポンサーは5000万円出しているのに、最後の元請けプロダクションは
800万円で制作している。これでは産業は絶対に育たないですよ」
麻生「それはひどいな」
川端「安い労働力によってコストは下がるけれど、品質はどんどん悪くなる。劣化を起こすことが
最初からわかっているビジネスなんです。この構造を変えなければいけませんね」
麻生「たしかに、その部分を真剣に考えないと、マンガにかぎらずコンテンツ業界の下を支えている
ところが育たなくなるね」
―前回はコンテンツ産業の問題点などについてお話しいただきましたが、一方で、たとえば
秋葉原で事件が起きるとマンガやアニメ、ゲームへのバッシングが始まるなど、コンテンツ産業への
評価はまだ安定していないようです
川端「秋葉原の連続殺傷事件で私が気になったのは、『派遣社員が事件を起こした』という点に
注目が集まったこと。派遣の人は傷つきますよね」
麻生「まったくそう。派遣やオタクが悪いとか、これはそういうステレオタイプで考える問題じゃないよ」
川端「こういう事件の背景として考えられるのは、人とのコミュニケーションが不得意な人がどんどん
生まれていることでしょう。原因は核家族化かもしれないし、地域のコミュニティーの崩壊かもしれない」
麻生「たしかにそういう見方もあるけど、川端先生ねえ、いまの若い子たちはそもそもコミュニケーションを
とる機会が足りないんだよ。経験の絶対量が足りない。私のところみたいに4世代一緒に育った
子供は80歳の祖母相手にちゃんと会話が成り立つように訓練される。でも、いまはそういう時代じゃ
ないんだねえ」