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「紅い眼鏡」(1987年)以来、21年にわたり押井守監督とタッグを組み続けている作曲家の川井憲次さん。2人の最新作
「スカイ・クロラ」がいよいよ8月2日に公開される。川井さんに音楽作りの様子を振り返ってもらった。
―完成作品を見た感想は。
川井 毎度のことですが、正直言ってよかったのかどうか分かりませんでした。何年か経たないと冷静に見られないんです。
「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」(1995年)のリメイク版(現在公開中の「攻殻機動隊2.0」)を作るにあたって
久しぶりに見て、やっとよかったと思えたくらですから。
―「スカイ・クロラ」の音楽作りはどのように始まったのですか。
川井 映画館や公式サイトで流す「特報1」のために音楽が必要だということで作ったのが最初ですね。この時に押井さんから
「弦の短いハープの音をメインにしたい」と提案がありました。以前からハープの音色が好きだったものの、これまではうまく
はまる作品がなかったそうなんです。今回は、背景としてアイルランドを想定していることもあり、合うのではということでした。
それで試しにアイリッシュハープを意識した音で曲を作ってみました。
―「特報1」の曲はワクワクしました。本編で使われなかったのが残念です。
川井 作った後に、押井さんからメインとなるメロディーを決めてそれで通したいというアイデアが出てきたので、必要なくなって
しまったんです。深い理由はないんですよ。もったいないことしたかなぁ(笑)。実は最終的に使っているテーマ曲も、最初は
オルゴールの場面用に作ったものです。実際にオルゴールを制作して録音することになっていたので先行して作ったら、
押井さんが「これをテーマ曲にしたい」と言って、急遽「昇格」することになったんです。
―印象的な旋律は、特定の登場キャラクターを想定して作ったものですか。
川井 作品中に何度も出てくる空のイメージですね。映像を見て、むやみに明るくない、いい意味でくすんだ色合いが
とても美しいと思ったので、そのイメージを大切にしました。
―民謡コーラスの西田社中は「攻殻」「イノセンス」に続いての参加ですね。
川井 これも押井さんの提案ですね。どこかにありそうでどこにもない国を表現するのには、西田社中の皆さんの声が
ぴったりだということでした。大切にしたのは、作品の世界観同様、表面的な生々しさを排除すること。ですから「攻殻」
「イノセンス」のように前面に出すことは避け、こぶしをまわさずまっすぐに発音してもらい、ブレス(息継ぎ)を意識させないよう、
2小節ずつ別々に録音していくという手間のかかる方法で録音しました。物理的にはありえないことを人間の声でやることで、
あたかも天から響く声のようにしたかったんです。
―坂本美雨さんも「イノセンス」に続いて挿入歌の英語詞を作詞していますが、音楽的に「イノセンス」とのつながりを意識しましたか。
川井 それはありません。ただ、西田社中や美雨さんをはじめ、僕と押井さんが培ってきた出会いを大切にしたいという気持ちは強いです。
実力はもちろん、世界観を共有するのに時間がかからない関係はありがたいですね。美雨さんに関して言えば、丁寧に
説明したわけじゃないのに、場面にぴったりの詞が送られてきて驚きました。
(>>2に続く)
引用元:YOMIURI ONLINE(読売新聞)
URLリンク(www.yomiuri.co.jp)
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