08/05/13 13:13:51
(アニメの)アップロードについて、作品のつくり手側はどのように感じているのだろうか。
ガイナックス神村氏インタビュー、後編である。
■ 観てもらえたほうがうれしい……、が
この話題はかなり微妙な問題が多いですし、私にも業界を代表した意見を言えるだけの見識は
ありません。ですから会社の意見ではなくて、私個人の考えを述べるのみですが……。
僕らの気持ちの半分では、無料でオンエアした映像なんだから、なるべく多くの人に観てもらいたい。
だからYouTubeなどでいつでも観られる状態になっているのは、ある側面では望ましいことかも
しれない。特にクリエーター連中は、「観てもらえたほうがうれしいよ」という志向が強いでしょう。
しかしたとえば「グレンラガン」という作品を僕らがつくりおおせることができたのは、ガイナックスという
スタジオが経済的に維持できていたからだし、それは「エヴァンゲリオン」など過去の作品からの
ライセンス収入があったからなんですよ
―海賊版の問題は思いのほか大変で、アジア圏だけではなく、ヨーロッパでも海賊版が流通して
いるそうですね。
ひとつの意見として、そうした違法コピーが横行するのは「日本のDVDパッケージが高いから」というのは
ありますね。
だから「俺たちがコピーをするのは、DVDが高いからだ」という人がいらっしゃいますけど、しかし
それは僕は、8割はウソだと思うんですよ。そういう人たちは、たぶん安くても買わない。むしろ安く
なったときになにが起こるかというと、DVDの価値を軽くみて、より気軽にコピーするようになって、
もっともっとコピーをばらまくと思います。あの方々は。
なぜアニメをつくるかというと、好きだからつくっている。そんな業界なので、「このアニメで儲ける」
という言葉が、なにか後ろ向きに響いてしまうところがあります。じゃあ儲けることを考えずに、
というのも選択肢としてはアリかもしれないのですが、やはり継続的にアニメをつくっていくためには、
ある規模の資本回収が行われないと厳しい。そのために日本のアニメーションでは、現状では
DVDパッケージがあの価格設定になっています。
アニメーションとハリウッド映画では、構造が違います。いいことか悪いことかは別にして、今の
アニメはある程度、観る人を選んでいるでしょう。だから価格設定を変えたとしても、アニメのDVDの
場合は売れる枚数は、実はそんなに変わらないと思うんです。
こういうと語弊があるかもしれませんが、わざわざDVDを手元において、再生したいときに再生したい
というニーズはかなりマニアの発想ではないでしょうか。なければそれはそれですむものじゃないですか。
その意味でアニメのDVDは嗜好品なので、そうした嗜好を支える商業では、ある程度高い値段になって
しまうのは、仕方がないところがあるのかなと思うんです。
高いから買えないという方々は、そうしたメディアで観ていただければと思うんですよ。テレビ放映を
自分で観てくださいと。もし面白いと思えばオンエアを録画されたらいいと。ただ、それをコピーして
配布されると、それは商業化。次の作品をつくっていく流れを、阻害してしまうので非常に困ります。
ITmedia News(一部抜粋)
URLリンク(www.itmedia.co.jp)
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