08/04/16 18:49:38
「漫画家にとって、恐ろしい時代だ」―ネット上ではここ数年、漫画の「トレース疑惑」の検証が
盛んだ。別の作家の漫画から似た構図のコマなどを見つけてネット上に公開。「盗作」と騒動に
なれば、出版社がその漫画を絶版にすることもある。
だが漫画界では、作家同士の模倣はよくあること。ほかの作品を参考に描くことも、暗黙のうちに
認められてきたという。同人作家による2次創作も黙認され、“グレーゾーン”から多くの作品が
生まれてきた。
漫画の編集実務に詳しい編集者・文筆家の竹熊健太郎さんが4月15日、「著作権保護期間
延長問題を考えるフォーラム」(ThinkC)が開いたパネルディスカッションに参加し、模倣や
トレースの事例を紹介。「漫画制作の現場は法律ではなく、慣習で動いている」と現状を説明した。
パネルディスカッションには、北海道大学大学院法学研究科教授の田村善之さん、弁護士で
クリエイティブ・コモンズ・ジャパン専務理事の野口祐子さん、評論家の山形浩生さんも参加。
それぞれの立場から意見を述べた。
■ 手塚治虫とディズニーの“パクりあい”
手塚治虫さんの初期の作品には、ディズニー作品からの“パクり”が多くあったという。竹熊さんが
紹介したのは、1949年に発表された漫画「メトロポリス」に登場するネズミの怪物「ミキマウス・
ウォルトディズニーニ」だ。その名の通り、名前も見た目もミッキーマウスだ。
逆にディズニーが手塚作品を“パクった”という疑惑もあった。「ライオンキング」は「ジャングル大帝」
のパクリではないか―ディズニーがライオンキングを公表した際、そんな議論が盛んになり、
日本の漫画家はディズニーに抗議しようと署名活動などを始めた。
だが手塚プロの社長が「天国の手塚治虫も、ディスニーに影響を与えたことに光栄に思うだろう」
とする声明を発表。ディズニーに対して法的な行動は取らないと意思表示した。竹熊さんはこの
判断の背景に、手塚さん本人がディズニー作品からかなり“パクって”いたことがあると見る。
「メトロポリスのような作品をディズニーが問題にしたら、メトロポリスを含む全集が絶版になって
しまう可能性がある。これは手塚初期の代表作であり、名作。作品としての価値はある。著作権と
作品の価値がぶつかった時、歴史的に重要な名作が出せなくなるのは、文化的な損失ではないか」
ITmedia
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