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一死も取れず…鶴「恩返ししたい」
「ロッテ１０-９阪神」（１５日、千葉マリン）
ぼう然とマウンドに立ち尽くした。プロ初登板初先発。高卒３年目にして念願のひのき
舞台を踏み締めた阪神・鶴に、野球の神様は考え得る最大の試練を与えた。
容赦なく襲い掛かる敵の前に、なすすべがなかった。初回、いきなり連打で無死一、三
塁とされると、福浦に右前打を浴びて先制点を許す。続く大松に四球を与えて満塁とされ
ると、久保チーフ投手コーチがたまらずベンチを飛び出した。
「緊張はありました。でも状態がよかったので思い切って行こうと思ったんですが…」。
高めに浮くスライダー、カーブ。苦し紛れの直球は狙い打たれた。里崎、オーティズの連
続長短打で４点目を奪われたところで交代。打者６人に５安打１四球。アウト１つすら取
れぬまま、プロ初マウンドは終わった。
１１日の２軍戦で６回を投げて以来、中３日でのマウンド。敵地独特の空気も含め、過
酷な条件下の登板ではあった。０／３回６失点という惨劇に、久保チーフ投手コーチは
「まだ力不足。これからですよ」と若き右腕の奮起を促した。
打線の猛反撃に、奇跡的にも黒星は付かなかった。「きょうは野手の方に感謝。次に
チャンスがもらえたら、恩返しのつもりで投げたいです」。千尋の谷の奥深く、防御率無
限大からの再スタート。純白の翼を広げるためには、自力ではい上がるしかない。