08/04/30 20:13:01 I8EVbWRc0
漁から上がって帰る途中に客船の船着場の横を通る時
何気なく見た視線を外すことが出来なかった。
…間違い無く、五年前に島をでて東京の学校に行った涼子だった。
彼女は風になびく髪を左手で押さえながら石の階段を下りてこっちに歩いてきた。
手にはハンドバック一つ持って。
恥ずかしながら彼女がこちらに気づくまで、俺はただ佇んだままだった。
彼女はニッコリ微笑みながら歩いてきた。
化粧はしていたが俺の知ってる涼子だった。
「ケンちゃん!ひさしぶり!」
ただ笑うことしか出来ない俺
「どうだった!漁は、イサ…オ?だっけ獲れた?」
俺は海を振り返り、そしてまた涼子を見て言った
「ははっ、イサキだろデカイのが獲れた、今年一番の大漁だったぜ」